2020年7月29日に、淡路市立北淡中学校の校内研修会の講師をつとめさせていただきました。テーマは「なぜ、一人一台の端末?」とご指定をいただきました。本来ならば学校に伺ってプレゼンテーションをさせていただくのですが(淡路島は行ったことがなかったので楽しみにしていたのですが…)、オンラインでの研修となりました。オフィスのPCでPowerPointのスライドショーを画面共有しながら行いました。学校側も、2つの教室に先生方が分かれて、大きな画面でスライドショー画面を見ていただく形でした。
講師を依頼していただいたきっかけは、北淡中学校の西岡正雄 校長先生が『学校アップデート』を手にしていただいたことです。『学校アップデート』を今回の講演資料としても指定してくださっていました。ありがとうございます。
西岡校長先生とは、2015年2月に、凸版印刷主催の「トッパン教育情報化セミナー@大阪
」のパネルディスカッションでご一緒したのがきっかけでした。もう5年にもなります。こうしていただくご縁は大変うれしいものです。ありがとうございます。
blog.ict-in-education.jp
北淡中学校がある淡路市は、教育用コンピュータ1台あたりの児童生徒数を見てみると、兵庫県内では第1位。一人1台が実現している環境にあります。まだ全国がこれから目指していこうとしているところを、すでに北淡中学校では環境面では実現しているので、その環境を活かして、生徒たちがデジタルを自由に道具として使っていけるような授業を先生方が行う機会になるように、さまざまな学校でICTが活用されている事例を紹介していきました。
『学校アップデート』などで紹介している事例は、「この利活用のしかたが正解」というものではありません。学校によって、学年によって、どういった利活用のしかたがいいのか、というのは違ってくるのが当然で、学校ごとにそれを授業設計のなかに落とし込んでいくことこそが重要だと思っています。そこには、日々子どもたちのことを見ていて、地域のことを知っている先生方にしかできない仕事があると思います。
いつものとおり、いろいろな事例を紹介した後に、教育ICTの利活用の目的9類型をご紹介しました。そして、この9類型をさらに「先生が使う部分」と「児童生徒が使う部分」とに分けて考えていただきたい、ということをお伝えしました。
そのうえで、最初は「先生が使う部分」まででもいいが、その先に「児童生徒が使う部分」に到達することを目指す、ということを学校として目指さなければ、「先生が使う部分」でICT活用が止まってしまう恐れがあるからです。
授業支援ツールを先生方の授業を改善するために使うところで終わるのではなく、そこから先に児童生徒が自分の思考や表現のためのツールとして使うところまでをみてやってほしい、という話をしました。これは、すでに一人1台の環境が実現できている淡路市だからこそ、目指していかなくてはならないことではないかと思いました。
オンラインでのプレゼンテーションで、スライドショーを画面共有で見せていると、教室側の先生方の反応が見えないので、どの事例のどういった部分に興味を持っていただけたのかがわかりにくい、と感じました。これが児童生徒が相手であれば、なお不安かもしれない、とオンライン授業の疑似体験ができてよかったです。次回以降、こうした機会があれば、改善していけるようにしたいと思います。
研修終了後に、西岡校長先生からは、以下のようなコメントをいただきました。こうしたコメントをいただけるのは大変うれしいです。
日本料理の板前さんが、和の食材の旨味・くせをよく知って、お客に喜びを提供するように、デジタルの良さ・くせをよく知って適切に活用し、子どもたちとともにその喜びを享受する。
私は今日の研修会を終えて、上のように感じました。つまり、板前さんは為田さんであり、デジタルの味を北淡中学校の先生方はじっくりと味わせていただき吟味させて頂いたわけです。また、明日以降の教育活動では、今度は我々が板前となって生徒に味わいを共有して行けるようにして行きたい!と感じたのです。
最後の質疑応答のところで、「授業で使ってみたい」というようなコメントもいただきました。一人1台あれば、教科間でスキルを横断して使うこともできるようになります。ぜひ、そうした形で授業がアップデートされていくといいな、と思いました。状況が落ち着いたら、ぜひ授業を参観させていただこうと思います。
西岡先生、このような機会をいただきまして、ありがとうございました。
追記:
西岡校長先生から、北淡中学校から見える夕陽の写真を送っていただきました。次は、学校に伺えるといいなあ、と思っています。とても綺麗だったので、みんなで愛でられるように、ここに貼ります。
(為田)