2017年8月30日に、小金井市立前原小学校の校内研修に、松田孝校長先生からお招きいただいて、参加してきました。松田先生が最初に話をしてくださった今回の研修テーマは、「個性的、個別的な学び」でした。「個性的、個別的な学び」を実現するために、必要な情報やスキルなどについて考える一日となりました。
No.4では、Q-Uアンケート(子どもの学級満足度調査)の分析と活かし方についての研修をレポートします。
Q-Uは、「楽しい学校生活を送るためのアンケート(Questionnaire-Utilities)」のことで、子どもたちの学校生活における満足度と意欲、さらに学級集団の状態を調べられる調査で、全国の小学校、中学校、高校で活用されているそうです。(参考:Q-Uと学級経営|特集|教育図書|図書文化)
Q-Uを活用する目的としては、以下の4つであると説明されていました。
- Q-Uは教員が自分の実践を俯瞰して見ること
- 行った教育内容を児童生徒からどう受け取られているかについて確認すること
- 教員側でできることに、まず取り組むこと
- Q-Uの結果を共通言語として、教員たちが連携し知恵を出し合うこと
前原小学校でも、6月にQ-U調査を行っており、今回の研修では、6月の調査結果をもとに、高学年、中学年、低学年に分かれてそれぞれのクラスの結果(数字等)を見ながら実際に話し合いをしていきました。
ICTの活用が注目を集める前原小学校ですが、通常の授業の中でいかに先生方が児童の様子を見ているか、その見取りをもとに学級経営をしているか、ということがわかる研修でした。
Q-Uでは、学級集団を2つの視点で評価していきます。
- ルール
- 集団で安心して生活するための基本的なルール
- リレーション
- 安心して本音を言い合えるような人間関係
この2つの視点を用いて、児童一人ひとりの調査結果をグラフにプロットしていくと、「満足型」「かたさ型」「ゆるみ型」「荒れはじめ型」「崩壊型」のように類型化できるそうです。
どのような型を目指すのかということを明確にしている自治体もあるそうで、ある自治体は、「まずは、かたさ型を目指し、それから満足型にももっていく」という方針をとっているそうです。かたさ型では、“ルールが確立しているがリレーションの確立に幅がある”という学級になります。こうした指標があると、先生方が日々している見取りが、近いのか意外な型が見えるのかなど、さまざまな気づきに繋がるのではないかと思いました。
先生方が学級経営についてディスカッションしている様子を見ていて、小学校という組織は1年ずつの積み重ねなのだと強く感じました。
例えば、ある学年でギュウギュウにルールで管理している学年があったとします。そうすると、次の年には新採用の若い先生では抑えることができない、ということもあります。このときに、周囲が「昨年はあの子たちはルールを守れていて、落ち着いていたのに…」と言ってしまうこともあり、このような言動が若い先生を追い詰めることにもなる、と言います。実際、保護者の目線からすると、こうした物の言い方/考え方をしてしまいがちだと気付かされました。
Q-Uの結果などを学校全体で見て共有し、先生の間で話し合う関係を作ることは、非常に大切なことだと思いました。
表には出てこない子どもたちの思いや関係性を探る、学級経営の見える化のためにQ-Uという調査手法があることを知る、良い機会を与えていただき、感謝しています。
No.5に続きます。
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(為田)