教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

森村学園初等部 授業レポート No.3 (2022年6月23日)

 2022年6月23日に、森村学園初等部を訪問し、榎本昇 先生が担当する5年生のプログラミングの授業を参観させていただきました。今回は、Sphero BOLTのLEDマトリックスを使ってアニメーション表現を作る授業でした。

 榎本先生は、授業の最初にルーブリックをみんなに見せます。ルーブリックは、「コードへの理解」「適切なコーディング」「授業への取り組み」の3つのカテゴリーに分かれていて、「適切なコーディング」では、「アニメーションに自分なりの工夫やデザインを入れた」ことが最高評価Sとなります。榎本先生は、「自分なりの工夫をしてください」と子どもたちに伝えます。

 この授業が行われたメディアルームでは、子どもたちは4人組でテーブルに座っています。榎本先生は、「この授業では、先生1人対みんな40人で授業ではなく、グループごとにやってください。授業中の“どうやったっけ?”は、グループ内で解決しましょう」と言います。
 また、榎本先生は「絶対にやっちゃいけないことは、“教えない”こと」と子どもたちに伝えていました。この言葉は単純にプログラミングについてだけでなく、学びの場としての文化を作っていくために、とても大事な言葉だと思いました。

 榎本先生が作ったLEDマトリックスのアニメーションを撮影した動画を最初にみんなに見せます。どんなふうに実際に動くのかを見せることで、子どもたちの「やりたい!」というモチベーションが上がっていきます。

 子どもたちから、「パクろう(笑)」という声が聞こえたときに、榎本先生は「パクるってことは、真似することですよね。それはOKです。どんどんやってください。でも、コピーしてそのまま、とかはだめ。テンプレそのまま使ったのも、おもしろくない。テンプレを使うだけなら、3才でもできる。いまできることをやってほしいです」と答えていました。

 ここまで話してから、実際の操作画面を紹介していきます。Sphero BOLTのスタビライゼーションを設定し、マトリックス画像を作成していきます。

 この後、アニメーションの作成を15分行って、その後で動画を撮影してロイロノート・スクールでカードに貼って提出し、最後にショーケースということでできた映像を発表してもらう、という流れで授業は進んでいきました。
 子どもたちはグループで、LEDマトリックスを何色で、どこにつけるかを設定していきます。1枚できたら、それをコピーして少しずつLEDの点灯パターンを変えていき、アニメーションを作っていきます。
 「えー、なんか思ってたのができない」という子もいますが、グループ内で話し合って制作を進めていきます。

 自分の設定したアニメーション・プログラムをSphero BOLTで実行し、その様子を撮影します。

 最後にみんなにロイロノート・スクールで提出してもらい、ショーケースということで1人に撮影した動画を紹介してもらいました。LEDでアルファベットを順に表示して自分の名前が出てくるようになっていました。こうしてクラスメイトの作ったアニメーションを見ることで、また新しくアイデアが広がっていくと思います。

 最後にGoogleフォームでふりかえり書いてもらい、授業は終了しました。榎本先生の授業では毎回ふりかえりを書いてもらっているとのことで、どんなふうに子どもたちが書く内容が変わっていくのか、また扱うプログラミングのアプリや機材によって違いがあるのかなど、今度じっくりお話を伺ってみたいと思いました。


 No.4に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)