教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

墨田区立錦糸中学校 授業レポート No.1(2022年10月14日)

 2022年10月14日に墨田区立錦糸中学校を訪問し、磯﨑健太 先生が担当する2年1組の国語の授業を参観させていただきました。

 授業の最初の10分で、Monoxer(モノグサ)を使って漢字テストを行っていました。磯﨑先生が「3分後にMonoxerで漢字テストをします。3分で勉強してください」と言うと、生徒たちは自分のiPadでMonoxerを開いて、出題されている問題を選んで自分で必要な復習を始めました。
 錦糸中学校のMonoxerでは、2年生の配当漢字すべてを全17個のドリルに分割してあり、この日行った漢字テストは14番目のドリルでした。テストを始めるときには、磯﨑先生は「テストします。机の上はタブレットだけにしてください。14番の画面を開いて始めてください。5分間です」と言うだけで、iPad上で漢字の書き取りのテストを行うことができていました。

 教室においてある大型モニターに映るMonoxerの先生画面では、テストに取り組んでいる生徒たちの状態が「回答中」や「完了」などと表示され、簡単に人数分布も確認できるようになっているので、進捗状況を一目で確認することができます。
 また、平均点、平均回答時間、点数分布も表示されているので、磯﨑先生は途中で「今日は良さそうですね」と声をかけていました。
 テストは自動採点なので、全員が答え終わったらすぐに平均点や点数分布を参照しながら、問題についての解説やふりかえりをすることができます。
 最後に磯﨑先生は、「2年生の配当漢字もあと3つで終わります。15番を今日配信します。期限を今日から3週間にするので、やるようにしてください」と、次の漢字テストの範囲を指定して、各自学習してくるようにと伝えて漢字テストを終了しました。

 Monoxerで漢字テストを行った後は、論説文の書き方について学んでいきます。前の時間に、ラーメン屋さんの紹介記事を読んで行きたいラーメン屋さんを決めて、一緒に行く人を説得する文章をプリントに書いていました。

 プリントに書いた文章をロイロノート・スクールで入力して、選んだラーメン屋さんごとに違う色のカードにして提出してもらいます。

 ロイロノート・スクールでカードが書けたら2~3人のグループを作り、「私が選んだラーメン屋は○○です。選んだ理由は~~です」とプレゼンテーションしていく時間をとりました。他の人が書いた文章を聴くことで、自分の書いた文章と比較することができます。

 ロイロノート・スクールで提出してもらったカードは、共有して他の人のも見られるようになっていました。磯﨑先生は、「この理由がよかったな、納得したな、というものはありましたか?他の人の書いた文章も見てみてください」と言います。
 カードの色を指定しているので、同じラーメン屋を薦めている生徒の書いた文章が同じ色のカードで並ぶようになっているので、簡単に読み比べることができます。
 回答を共有されている画面のなかから、同じ色のカードだけを選択して並べて表示して読んでいる生徒もいました。こうして、「どのようにすれば比較しやすいのか」を自分で試行錯誤できるのも、一人1台のiPadをもっているからこそできることです。

 生徒たちがクラスメイトの書いた文章を多く読んだタイミングを見計らって、磯﨑先生は同じラーメン屋を薦めている2人の生徒の書いた文章を選択して並べて表示して、「この2つの文章の違いは何だろう?」と生徒たちに問いかけます。
 生徒たちから、「資料について書いてあるか、自分の考えか」という声が返ってきました。こうして、クラスメイトが書いた文章を題材にして、その場で提示しながら文章を吟味していくことができるのは、ロイロノート・スクールを活用することによる利点です。

 ラーメン屋さんについて説得力のある文章を書く練習をしたのは、親しみのある題材でミニ体験をしてもらうためで、ここをベースにして、人を説得できる文章を書けているか、人を説得できる資料を作れているかについて考えていこう、と磯﨑先生は生徒たちに言います。
 主張に説得力をもたせる方法として、「三角ロジック」を紹介します。磯﨑先生は、「主張」「事実」「理由づけ」の3つが三角形を作っている三角ロジックの図をモニターに映しながら説明していきます。

 この後、新しくプリントを配布して、短い文章や新聞の投書などを題材にして、三角ロジックを意識して文章を読み書きする時間を作りました。これから文章を「事実」と「理由づけ」を探しながら読んだり書いたりしていきます。

 生徒たちは自分が書いた文章を何度も推敲しながら、説得力を高めていきます。プリントでアナログで書くだけでなく、デジタルで文章を書いて推敲する方がタイピングさえできれば圧倒的に速いし、書き直しをするのが楽なので、そうした場面が国語の授業のなかでも増えていくのかな、と感じました。

 No.2に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)