教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

自分が本当に「クリエイティブではない」と感じる

 先週、このブログのサイドバーにメルマガ登録フォームへのリンクになるバナーをCanvaを使って作りました。サイズを指定して、メールマガジンに関係ありそうな「mail」とか「subscribe」とかのキーワードを入れて、アイコンを作り、テキストを入れて…という感じで作れました。シンプルすぎてデザインも何もなくて、Canvaという便利なツールをもってしても、僕は「こんな感じのものが作りたいな」というのがちっともないのだな、と思い知りました。

 いま毎週水曜日に配信しているメールマガジンのヘッダーに使っている画像も、同様にCanvaを使って作りました。サイズを指定して、デザインテンプレートを探して、テンプレートに入っている画像のところに自分の入れたい写真をドラッグするだけで写真が置き換わります。めちゃくちゃ簡単です。でも、ほとんど「デザインテンプレートそのまま」です。

 いままでデザイン系のツールを自分で何か使ってみることはほとんどありませんでした。Canvaが便利で、いろいろなことができるので、自分でデザインをやってみるようになったのは自分にとって大きなステップでした。でも、Canvaを使うようになって、自分は本当に「クリエイティブではないなあ」と感じます。

 子どもの頃は図工の授業も美術の授業も本当にきらいでした。僕は、ずっと別に作りたいものがなかったんです。写生大会でも、近所のお蕎麦屋さんを描くことが決まっていればまあできますが、公園にみんなで行って先生に「テーマを探して自分の好きなものを描きましょう」と言われると、途端に何を描けばいいのかわからなくなる子でした。
 そんな僕が、Canvaを使って自分でちょっとデザインをやってみたりしているのは、Canvaがもつ「デザインを自分でやってみようかな」という0→1にあたる最初の一歩を踏み出させてくれるアプリの力だと思っています。
 一方で、0→1のあと、1→3に、3→5に、5→10に…というよりクリエイティブにするためにデザインを磨くところが全然自分にないことにも気付かされるのです。文章を書く作業だったら、何度も推敲をして、「どっちの表現がちゃんと伝わるかな…?」と自分で判断をしているつもりです。でも、デザインのときにはそうした視点が自分のなかにほとんどないのです。これは、「そうした体験をしてきていない」ということなのだと思うのです。

 そう考えると、学校ではCanvaなどのツールを使って「0→1」のところで新しい体験をしてもらうこともすごく大切ですが、「1→3」「3→5」「5→10」にする体験もしてもらえたらいいなと思います。みんながCanvaを使えて、いろいろなデザインをする敷居が下がるのは「0→1」のところで、そこから先、何かメッセージを伝えたり、誰かの役に立ったりするようにデザインを磨く体験は、先生方が子どもたちを導くからこそできることのような気がしています。
 先生方が「Canvaでデザインはできているんだから、これでいいじゃん」と止まってしまったら、せっかく「0→1」に踏み出したのに、みんなが「1」で止まってしまわないかな…とも思っています。デザインを磨いていくことをしなければ、デザインの敷居を下げて身近にしてくれるツールが、逆にデザインする力を「1」のところで止めてしまうことになってしまいます。

 文章や考え方を磨くのも同じです。ワードプロセッシングのツールも、シンキングツールも、同じことが言えるように思います。そうした視点を持ちながら、学校でのICT活用をサポートしていきたいと思います。

(為田)