2023年6月2日に渋谷区立千駄谷小学校を訪問し、森下華帆 先生が担当されている5年2組の授業を参観させていただきました。この日は5年1組と5年2組が一人1台のSurface Goを体育館に持って行ってダンスの練習をする予定だったのですが、雨のため予定変更になりました。
5年2組は教室へ戻って「Minecraft Education(マインクラフト・エデュケーション、以下“マイクラ”と表記)」に取り組みました。森下先生が「今日は、マイクラで千駄谷小学校のまわりのものをグループで作りましょう」と言い、15分間マイクラの制作に取り組みました。グループになって、一人1台のSurface GoでL-Gateにログインして、マイクラをスタートします。
グループで共有のワールドを使うので、同じ画面にグループの他の子のキャラクターがときどき出てきます。作るものが決まれば同じワールドの中で作業を分担して共同制作をすることもできます。「見て。これ、学校だよ」「校庭から作ろう」「プールを作ってるよ」とグループ内で声をかけ合って制作していました。
森下先生がマイクラの操作方法を細かく教えているわけではありません。クラス全員がマイクラに詳しいわけではありませんが、子どもたちが一緒に考えたり教え合ったりする教室環境を森下先生が作っているので、クラスに数人いる詳しい子がみんなのメンターになってくれていました。千駄谷小学校では、Surface Goの持ち帰りも許されているので、家でマイクラについての勉強をしている子もいるそうです。こうした環境作りこそが、学校と先生方にしかできない仕事だと思います。
15分間のマイクラ制作が終わった後は、森下先生から「ドリルパーク」「タイピング」「読書」「NHK for schoolで動画を見る」の選択肢が示されて、そのなかから何を学ぶかを自分で決めて取り組む時間になりました。
タイピングの練習に集中して取り組んでいる子たちが多かったです。一人1台のSurface Goを表現や思考のツールとして使いこなすためには、タイピングのスキルは必須です。雨で授業予定が変更になったこの日のように、偶発的にできた時間を使って少しずつでもタイピングの練習を重ねることはとても大切です。
タイピングの練習をしている子たちは、練習が終わったら成績の画面をスクリーンショットで撮影してTeamsで提出していました。そうして提出してもらったタイピング練習の成果を、森下先生は表にまとめて、タイピングの練習の成果を時系列で見ることができるようにしていました。子どもたちが少しずつ取り組んだ練習の成果が出ていることを、先生が見えるようにして伝えてあげることは、「さらに頑張ろう」というモチベーションを生み出すことにつながると思います。
隣の5年1組の金子哲也 先生のクラスでも、同じようにタイピングの練習をしていました。最初はクラス全員で「寿司打」にアクセスして、同じ「お手軽3000円コース (文字数2~7文字、制限時間60秒)」のコースに取り組みました。
みんなが同じコースに取り組んでいるので、スタート時間を合わせると終わる時間もほぼ同じになります。3000円のコースなので、基準となる3000円を超えてお得が出たら、次のコースに挑戦しましょう、と金子先生は言います。「寿司打」だけでなく、自分にちょうどいいレベルで練習するために「タイピングランド」も紹介されていました。
金子先生は「タイピングは大事です。1日に2時間も3時間もやってはダメだけど、少しずつでもやること。少しずつの積み重ねが大きな力を生むよ」と子どもたちに伝えていました。タイピングはやればやるだけスキルが上がっていくので、こうして先生が声をかけることはとても大切だと思います。
また、タイピングは家庭で自由に使う時間ではなかなか練習しにくいスキルだと思うので、こうしてみんなで学校で少しの時間でも練習するのはいいことだと思います。
No.2に続きます。
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(為田)