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葉山町立南郷中学校 授業レポート No.2(2023年10月12日)

 2023年10月12日に葉山町立南郷中学校を訪問し、3年C組の技術の時間に「双方向性のあるコンテンツ」の授業をさせていただきました。この日の授業は、全部で5コマある展開のなかの3コマ目のところで、自分で1つ選んだ双方向性のあるコンテンツで、情報(データ)がどのように双方向にやりとりされているのかを想像して、ロイロノート・スクールで書く活動を行います。

 1コマ目で生徒たちにたくさん出してもらった「一方向のコンテンツ」と「双方向性のコンテンツ」を授業の最初にクラス全体で見直してみます。一人ひとりがロイロノート・スクールで提出してくれたものを1つのワークシートにまとめておいて、プロジェクタで投映して話をしました。
 最初に「一方向のコンテンツ」として生徒たちが書いてくれていたもののなかから、全員に同じ情報が来る公式メールや公式LINEなどについて話しました。「でも、自分にあまりにぴったりな情報が来ることない?」と訊くと、「あるある!」と生徒たちが言います。「そういうのは実は、双方向性のあるコンテンツだよね」と言うと、「たしかに」と生徒たちが納得してくれます。実感として双方向性のあるコンテンツを経験しているようです。
 さらに、よりわかりやすい例として、生徒が書いてくれていた「Indeed」という答えを紹介して、検索ボックスにやりたい仕事内容を入れたら、それに合った結果がズラッと表示される。それは、こちらから情報を入力して、それに合わせて情報を表示してくれる、双方向性のあるコンテンツだからだ、ということを紹介しました。

 ここで、教科書のページ「双方向性のあるコンテンツの技術を知ろう」に書かれている「ショッピングサイトでの双方向性のあるコンテンツの利用例」をプロジェクタで映して説明します。生徒たちは手元の教科書でページを開いて見ます。教科書には、注文する人側のコンピュータとショッピングサイト側のサーバの間でのデータのやりとりが図で表されています。
 そこで、「教科書に書かれている図を見本にして、自分で選んだ1つの「双方向性のあるコンテンツ」で、同じようにコンピュータ(あるいはスマートフォン)とサーバの間でどんな情報がやりとりされているか、書いてみましょう」と生徒たちに伝えました。
 「例えば、どんな双方向性のあるコンテンツで書けそう?」と質問すると、生徒たちからは「メルカリ」「インスタ」「アマプラ」「ネトフリ」など、たくさんのサービスの名前があがっていました。生徒たちの身の周りには、数多くの「双方向性のあるコンテンツ」があります。それらのサービスのなかから、自分で興味のあるコンテンツやサービスなどを1つ選んで、ワークシートに情報のやりとりを書いてもらいます。

 ロイロノート・スクールの資料箱からワークシートのPDFを取り込んで、1つコンテンツやサービスを選んでから、双方向のデータのやりとりを想像しながら書いていきます。
 生徒たちには、「正解を出してほしいのではない。“こんなふうなのかな?”というのを自分なりに考えてもらいたい」ということを伝えました。どんなふうにデータが双方向にやりとりされているのかを想像して考えること自体も、プログラミングの練習になると思います。

 生徒たちが書くワークシートに出てくるコンテンツは本当に多様でした。Uber Eats、ピッコマ、Netflix出前館YouTubeApple Music、SpotifyAmazon Prime Video(アマプラ)、Instagram、メルカリ、アーチャー伝説などが出てきていました。

 途中で一度、できているところまでを提出してもらい、クラス全体で共有しました。自分と同じコンテンツを選んでいるクラスメイトのワークシートが参考になるのはもちろんですが、例えばUber Eatsと出前館や、Amazon Prime VideoとNetflixのように、似たサービスを選んでいるクラスメイトのワークシートも参考になります。

 クラス全体でワークシートを共有したあとで、最後にさらに自分のワークシートに取り組む時間をもう一度作りました。
 授業後に、生徒から「他の人たちの書いたものを見て、似たようなものを書いていても、それぞれが書いていることが少しずつ違っていて、それらを合わせていくと、より細かくそれらの仕組みがわかってきた気がした」というコメントもありました。
 他の人の書いたものを見て、それを合わせていくとより細かく仕組みがわかる、ということは、ロイロノート・スクールを使って情報を共有したからこそできたことです。また、「双方向性のあるコンテンツ」でどのように情報がやりとりされているのかをクラス全員で考えることで、たくさんの例を見ることができたのもよかったと思います。ゲストティーチャーとして僕が教えるだけではわかりませんが、きっと生徒たち一人ひとりが選んだコンテンツのなかには、その子らしさもたくさんあったのではないかと思います。そうしたところも、クラスでみんなで考える良さだと思います。

 最後に、「今日やった双方向性のあるコンテンツを、Webサイトで作るにはどうすればいいかを、次のライフイズテック レッスンでやります」と伝えて、授業を終わりました。

 No.3に続きます。
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(為田)