教育ICTリサーチ ブログ

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三原市立本郷西小学校・本郷小学校・本郷中学校 3校合同校内研修 レポート(2024年8月22日)

 2024年8月22日に三原市立本郷西小学校の校内研修で講師を務めさせていただきました。この研修は、本郷西小学校と同じ中学校区を形成する本郷小学校・本郷中学校の先生方にもお声掛けいただき、3校合同校内研修という形で実施されました。新学期に向けての準備を行う忙しい時期でしたが、3校合計で30名近くの先生方が参加してくださいました。
 中学校区単位でこうして合同研修をするのは、児童生徒の情報活用能力を育んでいくためにとても重要だと思っています。本郷西小学校と本郷小学校でICTを活用する力を身につけた子どもたちが本郷中学校へ進学するので、本郷中学校の先生方が「今度の入学生たちは本郷西小学校・本郷小学校でどんなことを学んできたのか」を知って、中学校での学びでICTを活用する計画を立てることができるからです。
 また、これは、「本郷中学校を卒業するときに子どもたちがどんなふうにICTを活用できるようになってほしいのか」ということを、本郷中学校区の地域性を考慮して小学校と中学校の9年間を通じての計画として考えることにも繋がると思います。

 今回のテーマは「目の色が変わる!夢中になるICT活用実践事例」でした。「ICTをどんなふうに授業で使えるのか、具体的な事例をたくさん紹介してほしい」とリクエストをいただいていたので、全国の小学校・中学校でのICT活用の事例から、授業支援ツールの活用方法、何度も推敲したり試行錯誤するときのデジタルの強み、写真や動画などのメディアの特性、学習者用デジタル教科書の活用などを紹介しました。
 また、英語の学習者用デジタル教科書の活用事例として、デジタル教科書で聴いた教科書本文の英語をGoogleドキュメントの音声入力ツールを使って英語が正しく入力されるように練習する授業を紹介しました。参加している先生方にも、自分のChromebookでGoogleドキュメントの音声入力ツールを使って英文を入力してもらいました。
 事例として紹介されるのを聴くだけでなく、実際に先生方に試してもらうことで、「子どもたちがやってみたら、どんな感じになるだろう」というのを想像しやすくなると思います。実際に「あ、ちゃんと英語で出た!」と嬉しそうな声をあげている先生もいました。こうした体験が大切だと思っています。

 事例紹介のあとには、何のためにICTを活用しているのかを目的から考えてもらうために、教育ICT利活用の目的9類型を紹介しました。
 僕は、児童生徒が表現や思考のツールとしてICTを活用できるようになることをとても重視しています。そのため、こうした研修のときにお話するときにも、そこを強めに語ってしまうことが多いと思っています。
 でも、それが本郷西小学校・本郷小学校・本郷中学校の先生方にとっての正解かどうかはわかりません。本郷西小学校・本郷小学校・本郷中学校の先生方がいま教えている子どもたちの学びのために、ICTをどのような目的で使うことを目指せばいいのかは、各校の先生方にしか考えられないことです、というお話をしました。

 最後に参加された先生方にQRコードを使ってPadletにアクセスしてもらい、「どの目的を目指したいですか?」と質問をしました。
 先生方がICTを使う目的としたいと書いていたのは、「さまざまな方法を使って表現することができる授業をしてみたいと思います」「思考し続ける児童になってほしい」「便利な様々なツールを用いてモチベーション喚起、表現方法の拡充をしていきたいです」「いろいろな考えを共有して学び合える子どもにしたいです」「デジタルを活用し、理解が難しい児童の理解度を上げて、よりより表現をできる児童にしていきたい」などがありました。
 こうして一人ひとりの先生方が、何を目的としてICTを活用しようと思っているのかを、文言化して同僚の先生方と伝え合うことが重要です。特に、今回のような中学校区での合同研修のときには意義があることだと思います。

 質問があればPadletでカードの色を「レッド」にして書いてください、と伝えてあったので、何人かの先生からは質問ももらいました。時間内にすべての質問に答えられなかったので、研修終了後に広島空港からPadletに返信を書き込みました。

 今回の合同研修には、先生方が全員参加されたわけではありませんが、それぞれの学校でどんなICTの活用をしているのかを情報共有することができれば、中学校区全体としての情報活用能力の向上を目指すことができると思います。中学校区での連携を進めて、児童生徒も先生方もICTを使いこなす学校への歩みが進んでいけばいいなと思います。

(為田)