教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

葉山町 情報教育研修講座 レポート(2024年7月26日)

 2024年7月26日に葉山町教育総合センターで行われた葉山町 情報教育研修講座に講師としてお招きいただきました。夏休みに行われるこの情報教育研修講座には、2022年度2023年度に続いて、3回目の登壇となりました。
 僕は葉山町教育委員会の楽校教育推進アドバイザーとして教育ICT推進会議にも出席をさせていただいていますし、町内にある6つの小中学校(4つの小学校、2つの中学校)のうち5校を訪問したことがあります。自分の見てきた範囲でわかる葉山町の学校・授業の雰囲気を考えながら、先生方にとって役立つものにできればと思って、今年度の情報教育研修講座を設計しました。

 研修の最初に「ICTが正直あまり得意ではありません、という先生はどれくらいいますか?」と質問すると、半数以上が手を挙げるという感じでした。希望者が参加する情報教育研修講座には、ICTが得意な先生が来てくださるのは当たり前です。しかし、今回は参加者は少なかったものの、どちらかというと苦手意識をもっている先生が希望して参加してくださった。そこに意味があると思っています。

「ICTを効果的に活用した授業づくり」と事例紹介

 今年も、「ICTを効果的に活用した授業づくり」を研修テーマに選びました。“ICTを効果的に活用”とはどういうことなのか、参加した先生方が具体的に言語化できるようになってほしい、ということを伝えて、いろいろな授業事例を紹介していきました。
 事例紹介のなかでは、自分で授業をさせてもらった葉山町立南郷中学校でのプログラミングの授業の様子も紹介しました。

 事例紹介の後で、教育ICT利活用の目的 9類型を解説しました。葉山町の小学校・中学校の先生方が、ICTを活用してどの目的を達成しようと思うのかを考えてもらいたいと思いました。

 休憩時間を挟んだ後で、Googleドキュメントでの音声入力(日本語と英語の両方で)のデモンストレーションをしました。
 また、参加した先生方にもってきてもらったChromebookを使って、プログラミング教育の実践としてアルゴロジックをやってもらいました。アルゴロジックをはじめてやる先生方も多かったですが、「失敗してもいいから、何度でもやり直してみる」ことと、「ゴールを達成する方法は1つだけしかないのではなく、いろいろな方法でゴールを達成できる」ことを、アルゴロジックで楽しみながら子どもたちに伝えてほしいということを説明しました。
 葉山町の小中学校では、1学期末からデジタルドリルの活用も始まりました。デジタルドリルも、先生方が自分で学習者の立場になってどんなふうに問題が出題されて、間違えたり行き詰まったら次にどんな問題が出てくるのか、というのを自分で体験してみることが大事だと思います。先生方がそうした「自分でICTを触ってみる」時間を作れるようにすることも大事だなと思います。

Padletでコメントと質問を書いてもらって共有

 研修の終盤には、ChromebookでQRコードを読み込んでもらって、Padletにコメントと質問を色分けして書いてもらいました。

 参加した先生方に書いてもらった質問のすべてに対して、僕が明確な回答を出せるわけではありません。僕からは、「こういう考え方をしたらどうでしょう?」「こういう取り組みをしている学校があります」ということはお伝えしました。
 Padletを使った理由は、挙手して質問をしてもらうより、Padletに入力してもらう方がたくさんの質問を聴く(読む)ことができるからです。また、ログとしてPadletを残しておくことで、参加した先生方が後で読み返すこともできます。

 書いてもらったコメントのなかから、研修で紹介した実践事例についてコメントを紹介します。

  • 何度か講座に参加させてもらっていますが、毎回新しい気づきがあります。授業のアイディアの素になるのでありがたいです。
  • 実際に他の先生方がやられていた実践を数多く紹介してもらえてよかったです。できそうなところからやっていきたいです。
  • ICTへの考えを深められました。事例も実際に授業で使ってみようと思いました。

 「授業のアイディアの素になる」「できそうなところからやっていきたい」「実際に授業で使ってみようと思いました」と言われるのがいちばんうれしいです。日本全国のたくさんの先生方がされている実践を、横に広げていくことを続けていきたいと思います。

 それと、今回のテーマであった「ICTを効果的に活用した授業づくり」という観点でのコメントを紹介します。

  • 初めてお話を伺って、ICTを活用するって難しいと思っていましたが、これまでの授業と同じように目的を明確にすることが大事なのだなとわかり、少し安心しました。どうしてもタブレットに苦手意識があるのですが、子どもたちに提示するにしても、自分が知らないとやれないこともあるので、今回のアルゴロジックのように、夏休み中に自分で体験してみようと思います。
  • 授業作りで大切にしていることは、「本質的な問い」だったり、準備の大切さだったり、ICTを活用してもしなくても同じなんだと納得できたし、メディアリテラシーはますます学校で学ぶ意味があると思う。

 「これまでの授業と同じように目的を明確にすることが大事なのだ」「授業作りで大切にしていることは、(略)ICTを活用してもしなくても同じなんだと納得できた」というコメントは、まさしく伝えたかったことなので、こうしてコメントしていただけると大変励みになります。

 ここから、葉山町の小中学校でのICT活用を、今度は授業づくりの面からサポートしていければと思っています。この日、研修に参加していただいた先生方とも、学校でお会いして授業づくりをご一緒できたらいいな、と思っています。

(為田)