教育ICTリサーチ ブログ

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考えてみた:アプリやソフトが便利になると、クリエイティブにどんな影響を与えるのか?

 毎週ジョギングをしながらタイムフリーで聴いているJ-WAVEの番組「DEFENDER BLAZE A TRAIL」の2024年9月8日のゲストが、映画「ぼくのお日さま」を監督した奥山大史さんでした。


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奥山さんが映画監督・映像作家になったきっかけ(トーク内容紹介)

 1996年生まれの奥山さんが、映画監督・映像作家になったきっかけを話されていました。高校のときに部活をやめて時間ができて、レンタルビデオで最初は新作を、それから旧作をまとめて借りて、どんどん映画を見ていったそうです。そして、橋口亮輔監督の「ぐるりのこと。」を見たのが映画を作りたいと思ったきっかけだそうです。

 映画・映像を創りたいなと思っていた奥山さんのはじめての映像制作は、高校を卒業するときのパーティーで同級生たちに見せる映像を創ったことだそうです。
 映像制作にあたって、どんな音楽を流そうか悩んで、TSUTAYAの試聴コーナーにずっといて、CDを積み上げて曲を聴き続けて探した。使った曲はP!nkの「Boring」だったそうです。「最初の3秒を聴いて、映像がフラッシュみたいに光る感じが見えた気がした」と言ってました。

奥山さんのトークを聴いて思ったこと

 番組で奥山さんの高校時代の話と、はじめての映像制作の話を聴いていて、最近の高校生だとまた全然環境が違うのかもしれないな、と思っていました。

 奥山さんは自分の家でレンタルしてきた映画を見まくっていたのですが、いまの高校生はいろんな端末でいろんなプラットフォームで手軽にたくさんの映画や映像を見ることができます。
 学校の昼休み(や授業中)に、サブスクサービスで映画を見まくっていたり、YouTubeでさまざまな動画を見まくることで、「映像やりたい」と思う人は増えたりするのかもしれません。

 これは映像の話だったら「休み時間に映画なんて…」となると思いますが、本だったら今までだってあったのかなあ、とも思います。休み時間に一人、文芸作品を読みまくっいて、自分でどんどん作品も書いてみている子とか。イラストや漫画でも同じようなシーンはあったかもしれません。

 もうひとつ、はじめての映像作品に使う音楽も、「試聴コーナーでCDを何枚も何枚も積み上げて1曲ずつ聴きまくっていた」という話をされていましたが、これも今ならサブスクでいろいろな音楽を聴けるようになっています。
 一方で、アプリやソフトが便利になって、映像編集をする敷居がすごく低くなっているように思います。「この曲、使う?」という感じで音楽がどんどんレコメンドされるようになってくると、奥山さんがしたみたいに自分で聴きまくって、「どの曲がいいだろう…!?」とがんばらなくてもいい環境ができてしまって、その人らしさを出すことができる人はむしろ減るかもしれないな、とも思いました。

 アプリやソフトが便利になることで、何もできなかった人が映像制作の世界に足を踏み入れることは簡単になったと思いますが、そうして足を踏み入れた世界をどんどん自力で進んでいく人の数は増えるのか、減るのか、特に変わりはないのか、僕はそうした部分がとても気になります。

 これは映像制作の世界だけの話ではもちろんなくて、もっと広くクリエイティブなこと全般に関わることなのではないかな、と思います。そんなことを思って、前に書いた2本のブログの記事を読み直しました。

blog.ict-in-education.jp

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 先生方とこんな話もしてみたいな、と思いました。

(為田)