教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

休校×ICTでやれたこと No.19 「BYODを活用したホームルーム、課題、授業動画の配信」(横須賀学院小学校)

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、2020年3月2日から始まった休校措置は、新年度になっても継続しています。休校の状況にあっても、ICTを活用することで教育活動などを継続している学校の実践を「休校×ICTでやれたこと」として紹介していきます。

 今回は、横須賀学院小学校の小出啓介 校長先生からいただいた実践で、「BYODを活用したホームルーム、課題、授業動画の配信」です。

Q1:どんなふうに使っているかを具体的に教えて下さい。

 横須賀学院小学校では、教員全員にiPadを貸与し、児童はBYOD(実際はUse Your Own Device,UYODなのですが…)で対応しているそうです。Zoom、ロイロノート、YouTube、Padletを活用しているそうです。

小出校長先生:毎日、クラスごとのホームルームをZoomで行っています。10分程度の短いものですが、そこには複数の教員が「共同ホスト」として参加して進行を助けていきます。まず子どもたちの心の平安を得ることを考え、とにかくホームルームをオンラインで実現させるべきだと判断しました。併せて、各家庭のネット環境についてアンケートを取り、質問用のメールアカウントを作るなどして、本校にふさわしいオンラインでの学習が始まりました。今週からは週2回、全校での礼拝を守るようにしています。
TRFのETSUさんに依頼して、全4回、全校でダンスのレッスンを受けました。基本的にはETSUさんからの指示を聞いて、リズムを取ったり、ステップを踏みます。簡単なことの組み合わせから、段々と複雑になっていきます。子どもたちは「オッケー?」という問いかけに、サムズ・アップするなどのジェスチャーを行うことで双方向性を保っています。子どもたち、またその傍らにいる保護者の方々が、どんどん笑顔になっていく楽しい時間でした。
課題はロイロノートで配信し、(スマホなどの小さい画面しかない場合に対応して)併せてプリントも郵送します。ただし、提出はそのプリントを写真に撮ってロイロノート上で提出する形を取っています。
課題は学年ごと教科ごとに様々ですが、提出されたプリントに、担当者がチェックを入れたり、コメントを付けたりして返却します。その返却もオンラインです。課題は、あまり負担にならないように、授業動画を見て確認することができる程度のものです。算数ならば、1回の動画に対して、プリント1枚くらいのイメージで配信しています。
5分程度の授業動画をYouTubeにアップして限定公開しています。高学年になると教科担任制を取っているということもあり、教科ごとに作っています。

Padletというサイトを掲示板として利用し、これらの情報を掲示しています。英語科はこのPadletを2013年から使っているので、使い勝手が良いのです。
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 課題をロイロノートを使って配信をしているものの、家庭ではスマホなどの小さい画面しかないケースもあるだろうということで、郵送も含めて行っているのが素晴らしいと思います。こうした、家庭ごとの事情に細かく対応していくことは、絶対に必要なことだと思います。

https://ja.padlet.com/ja.padlet.com

Q2:「もっとこうであればよかった」ということがもしあれば教えて下さい。

 「もっとこうであればよかった」というふりかえりを、小出校長先生は以下のように書いてくれました。

小出校長先生:児童の環境が揃うようにしておけば良かったと思います。あらかじめ全員がタブレットを購入し、保護者にもWi-Fi環境の整備などを依頼するなど、オンラインを利用する前提で、進んでおけばよかった。アジア諸国でかつて通貨危機が起きた時に英語教育が、SARSが席巻した時にICTが整備されたように、日本だけがその危機を免れたがために、逆に遅れを取った部分を、もっともっと整備しておくべきだったと思います。

 オンラインでの教育活動を行っている多くの学校が、家庭の環境の把握を行うところから始めています。それぞれの家庭ごとにデジタル環境は異なるので、学校の方で推奨する環境を伝えておくことは、これからの時代には必要になるかもしれないと思いました。

まとめ

 最後に、小出校長先生から以下のようなコメントをいただきました。

小出校長先生:早い段階から職員の打ち合わせにZoomを利用するといった準備ができたのが良かったと思っています。情報機器利用の習熟度に違いがあるために、色々な点で差が生じてしまいます。しかし、動けるところから動くことで、成果をシェアしながら、この事態を、なんとかチームで乗り切りたいです。Zoomに「職員室お茶飲み場」という会議室を設定し、気軽に情報交換、雑談をできるようにしました。また、子どもたちにも「学習室」という自習の場を作り、お互い顔を見ながら、時にはちょっとした質問もできるようにして、安心感を得られるようにしました。

 管理職としては、児童の安全はもちろんですが、チームのメンバーである教職員のみなさんの安全も重要ですので、ICTを活用して乗り切っていくことが重要だと思います。
 
 小出校長先生、ありがとうございました。

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 実践紹介と共に、「もっとこうであればよかった」も合わせてまとめておけば、GIGAスクール構想後の学校に役立つ知見になると思います。引き続き、フォームからの投稿を受け付けていますので、どうぞよろしくお願いします!

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(為田)