教育ICTリサーチ ブログ

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休校×ICTでやれたこと No.11 「全学年一人1台iPadで自宅学習支援」(敬愛小学校)

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府が打ち出した小中高校や特別支援学校などの臨時休校が2020年3月2日から始まりました。休校の状況にあっても、ICTを活用することで教育活動などを継続している学校の実践を「休校×ICTでやれたこと」として紹介していきます。

 今回は、敬愛小学校の龍達也 先生からいただいた実践で、「全学年一人1台iPadで自宅学習支援」です。

Q1:どんなふうに使っているかを具体的に教えて下さい。

 敬愛小学校では、iPadは各家庭で一人一台、入学時に個人購入していただき、通常授業でも使用しています。今回の臨時休校では、iPad、Zoom、ロイロノート・スクール、Qubena、DMM英会話、G Suite(Googleフォーム、Googleスプレットシートなど)、CHIeru、Terra Talkを活用した自宅学習支援をしているそうです。

龍先生:休校の3月2日から特別時間割を組み、全学年にてiPadを使った自宅学習支援をスタート。Zoom・ロイロノートを使って朝の会を行い、朝の読書の後、午前中3時間の時間割(国語・算数・社会・理科・英語)を組んで実施している。

  • 朝の会
    • 健康観察を行い、子どもたちの健康状態をチェック。(2週間が経過したときに、心とからだのアンケートを別途Google フォームを使い実施)
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    • Online GYMと題し、体育の先生が自宅でできる簡単な5分間トレーニングの動画と解説をロイロノートで作成。毎日自宅で運動を行う。クラスによっては、感想を提出させたり、Zoomで一緒に行ったり、トレーニング動画を提出させたりとクラスに応じて工夫。
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  • 朝読書
    • Zoomで読み聞かせを行ったり、Zoom越しに読んでいる様子を共有したり、ロイロノートで読んだ本の画面や感想を提出させたり、と各クラスが工夫。
  • 授業
    • ロイロノートを通して通常の双方向の授業を実践
      • Zoomに接続して、解説の後、ロイロノートで課題を提出する。
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      • QubenaやCHIeruなどの無償支援アプリで範囲を指示して、取り組んだ結果をスクリーンショットをロイロノートで提出する。
  • Online Library
    • この休校中にたくさんの本と出会ってほしいと考え、Online Libraryをオープン。電子書籍の無償提供もスタートしたが、やはり、紙の本を読んでほしいと思いつつも、市立図書館も学校の図書館もクローズ。新しい本に出会うチャンスを作るため、学校の図書館をOnlineでオープンする手法を考えた。
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    • (1)Googleスプレットシートで、1年間の貸し出しが多かった学年別図書と新しく入荷した図書を学年別に紹介→(2)図書のバーコード番号をGoogleフォームで学校に送信→(3)それを図書担当の先生が、貸し出し場所(本校では守衛所)に準備し、無人貸し出し・返却を行う。
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  • オンライン英会話
    • 192cafeやさまざまなイベントで出会った先生方5校で繋がり、異学年でのOnline Englishを開催。ZoomのミーティングIDを紹介し、80名を超える子どもたちや先生方が参加。
    • ブレークアウトセッションを使用して、3名1組の部屋に4回分かれてもらい、オールイングリッシュでの自己紹介と、クイズを行い、英語のアウトプットの機会とした。
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    • Online English終了後、マンツーマンでオンライン英会話を海外の人と実践できる「DMM英会話」とAI学習アプリ「Terra Talk」を紹介し、設定した授業時間外の意欲的な学びに繋げた。

Q2:「もっとこうであればよかった」ということがもしあれば教えて下さい。

龍先生:ん〜。特にはないです。まだまだ他の方法はあるのかもしれませんが、このように「各学校の取り組みの共有」をしていただいたり、Facebook等で実践者の交流ができることが、これからの活動に繋がると思う。「思い悩むよりもやってみて微修正してみること。」「すべての機会は子どもたちの成長に繋がること。」 同じ教育機関に勤める先生たちが、自校内で悩むのではなく、「共創」していく文化がスタートしたのではないかと考える。

まとめ

 一人1台のiPadを通常授業から使っているからこそできる実践の数々は、他の学校にも参考になるものだと思いました。特に、Online Libraryの運用は素晴らしいと思います。学校の図書館も生徒や保護者の資産としてどのように活用できるか、ということを考えて、オンラインでできる部分を代替し、運営されているのが素晴らしいと思いました。

 龍先生が書かれているように、「自校内で悩むのではなく、「共創」していく文化がスタートした」のだと思います。ICTを活用することで、どういったことが実現できるのかということを、今後も共創していくことができればと思います。そのための情報源として、さまざまな学校の事例を提供していきたいと思っています。

 龍先生、どうもありがとうございました。

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 実践紹介と共に、「もっとこうであればよかった」も合わせてまとめておけば、GIGAスクール構想後の学校に役立つ知見になると思います。引き続き、フォームからの投稿を受け付けていますので、どうぞよろしくお願いします!

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(為田)