教育ICTリサーチ ブログ

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奈良女子大学附属中等教育学校 授業レポート No.2(2020年5月21日)

 2020年5月21日に、奈良女子大学附属中等教育学校の二田貴広 先生が行ったオンラインコラボ授業を見学させていただきました。
 この授業は、大阪工業大学の横山恵理 先生、福岡県立ありあけ新世高等学校の前川修一 先生、京都橘高校の小坂至道 先生との全3回のコラボ授業の3回目で、「評論「ものとこと」を繋げる ~創造的に考える」がテーマの授業でした。

 授業の最後に、生徒たちはGoogle Classroomで感想を書いていました。そのご紹介も含めて、今回のオンラインコラボ授業を実現させた、二田先生に実際にやってみての感想を伺ってみました。

このコラボ授業を企画したのは、下記の2つの目的からでした。

  • オンラインだからこそできる学びを実現したい!
  • 「論理的,批判的に考える力」、「創造的に考える力」、「伝え合う力」を向上する学びを創りたい

 新型コロナウィルスにより、休校が全国化してICTの活用がさけばれる中、この状況を逆手にとって「オンラインだからこそできる学び」を追求しようと考えました。たまたま昨年度、奈良・岡山・福山の3つの高校で授業動画をシェアしながらSNSで生徒同士が意見交換するといったことにも取り組んでおり、コラボ授業は体験済みでした。また、その際に授業づくりの目的としたのが、「論理的,批判的に考える力」、「創造的に考える力」、「伝え合う力」を向上する学びづくりでした。これら3つの力は、新しい学習指導要領で高校の新科目「論理国語」が目的とする力です。
 「論理的,批判的に考える力」は、「文章や資料における情報や,情報と情報との関係などをそのまま受け入れるのではなく,文章や資料を対象化して,その正誤や適否を
吟味したり検討したりしながら考える力や,それを踏まえて自分自身の思考を意識的に吟味する力」のこと、「創造的に考える力」は、「他者の考えと自分の考えを吟味したり検討したりすることを通して,自分で新しい考えを生み出す力」のこと、そして「伝え合う力」では、「他者とは,広く社会生活で関わりをもち,世代や立場,文化的背景などを異にする多様な相手のことである」と定義されていて、まさにオンライン授業で目指すべき資質・能力としてぴったりだと考えました。


 以上の目論見で企画実施した今回のコラボ授業。生徒の皆さんの振り返りを読むと、目的は達せられたかなと考えています。
 たとえば、「オンラインだからこそできる学び」だったかどうかについては、「通信だからこそできる各方面の先生を引き合わせた授業という、確実によいものを提供していただいている」「コロナで学校にいけないのはすごく残念ですが、普通の授業にはないことができてとてもよかったです」といった感想がみられました。
 「論理的,批判的に考える力」については、「『ものとこと』という評論を古典文学『伴大納言絵巻』に落とし込むことで、より深く『もの』『こと』を実践的に学べた」「今回のコラボ授業で『ものとこと』をより具体的に捉えることができた。初めは伴大納言絵巻との関連性があまり見えなかったしかし次第に絵から読み取れること、すなわち、描かれているもの、描かれていないものについて、それがどんなことを意味しているのかという考えていく上で、ものは不変だが、ことは可変であることが見えてきた」と振り返ってくれました。
 「創造的に考える力」については、「自ら考えた意見を専門家の見解をきくことでそれを踏まえこれまでの自分とは違うさらに物事を深くとらえることのできる自分になれる場所を提供してくれた」「わたし自身、この本文を読む前と後では、「もの」と「こと」という言葉自体に対するイメージが変化しているし、「古池や」という句に対する解釈も変化している。それはすなわち、この本文によって「わたし」が変化したということなのだと考える」のように、自分自身の変容をメタ認知した分析が見られました。
 「伝え合う力」については、ほぼ全員が「オンライン授業を逆手にとってたくさんの先生に教えてもらえたのがすごく面白かった」のようにポジティブな印象を持ってくれました。


 まだ生徒が慣れていないこともあり、今回のコラボ授業ではZoomの「神機能」であるブレイクアウトルーム(参加者を小集団に分けてミーティングができる機能)を使わなかったのですが、生徒のこんなコメントを見ると、チャットだけでもうまく使えば十分に思考ツールやディスカッションツールとして使えるな、という新たな発見もありました。無理してブレイクアウトルームに分けて、分けた先で「しーん」みたいな恐れもありますから。

  • 生徒がチャットで発表することで普段の授業より生徒が参加しなくてはいけないという気がした。また、チャット形式ではみんなが意見をだしあうのに時間がかかりにくいと思った。普段の授業で「考えたことをノートに書きましょう」というのと同じスピードでできて、さらに大勢の意見が見ることができると思った。

 私自身、生徒の皆さんの振り返りから学ぶことがたくさんあります。今回の新型コロナウィルス騒動はもちろん、予想だにせぬ事由でいつ休校になるかもわからない将来がくることがわかっています。それを見越した対応や企画ができるように私のマインドセットや学びをつくる力を生徒のみなさんの振り返りはブラッシュアップしてくれました。
 なによりも、このコラボ授業に快くご協力くださった先生がたに深く御礼を申し上げます。こんな面白い学びにできたのは、先生方のお力によるものでした。私一人の力ではできません。このことも、コラボ授業の良さだなぁと実感しています。

 No.3に続きます。

(為田)