野中潤 先生が編著をされた、『ICTで変える国語授業2 ―応用スキル&実践事例集―』を読みました。こちら、2年前にこのブログでも紹介した『ICTで変える国語授業 ―基礎スキル&活用ガイドブック―』の続編です。前回の「基礎スキル」→今回の「応用スキル」、前回の「活用ガイドブック」→今回の「実践事例集」とバージョンアップしています。
「はじめに」で野中先生が書かれているのですが、「アウトプットのアップデート」が求められているというところが非常におもしろいと思いました。
台湾の外国語教育では、「聞く、読む、話す、書く」の4つの技能に加え、「訳す」「動く」「深める」という3つを合わせた7つの技能が重視されていると言います。この話を聞いたとき、4つの技能で整理することによって落とされてきた国語科教育の可能性を再発見したような気がしました。
例えば、「訳す」という技能を念頭において国語科教育の学びを見直したときに浮上してくるのは、古文を現代文に訳すとか、書き言葉を話し言葉に訳すとか、常体を敬体に訳すとか、専門的な表現を一般的な表現に訳すとか、掲示物などを外国人にも伝わるような「やさしい日本語」に訳すなどといった、「訳す」という活動の豊かな可能性です。マンガを物語に書き換えるとか、映画の一場面を小説のように文章化するなどの活動も「訳す」という活動に加えることができます。そこに見えてくるのは、豊かな言語活動によって児童・生徒の創造力を養う授業の可能性です。おそらく「動く」や「深める」という技能にも、従来の国語科教育のあり方を考え直す契機が見出せます。(p.2)
今回の本のなかには、国語授業にICTを持ち込んでできる実践事例がたくさん書かれています。ICTを使うことで、思考や表現の選択肢を増やし、アウトプット量を増やし、それを他者と交流することも簡単にできるようになります。野中先生の言う、「豊かな言語活動によって児童・生徒の想像力を養う授業の可能性」を見つけられる事例に出会えるのではないかと思います。
僕も、自分でやってみたい実践をいくつか見つけたので、ぜひ授業のなかで実際に子どもたちと一緒にやってみようと思います。
(為田)