教育ICTリサーチ ブログ

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書籍ご紹介:『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』

 ルトガー・ブレグマン『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』を読みました。福祉として生活保護などを行うのではなく、一律のお金を直接あげればいい、というベーシックインカム(最低所得保障)について興味があり、読みました。

 AIの発達によって、社会はより大きく分断される可能性があります。社会を不安定にさせないために、何ができるのかを考えていくことが必要です。

資本主義だけでは、現代の豊穣の地を維持することはできないのだ。進歩は経済的繁栄と同義になったが、21世紀に生きるわたしたちは、生活の質を上げる別の道を見つけなければならない。(p.29)

 社会が不安定になるときに、「貧困」は大きな影響力をもつ要因になるでしょう。そのための方策としてのベーシックインカムについて、僕は知りたいと感じました。

実際に貧困による影響は、IQが13~14ポイント下がるのに相当した。(p.78)

 本を読んで、ベーシックインカムを政策として行なっている事例も知りました。ユタ州でホームレスに無償でアパートを提供する政策などが行われ、74%のホームレスが減少し、州の財政負担も軽減された事例が紹介されています。また、この「ハウジング・ファースト」戦略はオランダの都市でも行われたケースもあるそうです。

 今回のコロナ禍の影響もあり、政策としてのベーシックインカムをスペイン左派政権が2020年5月末に政策として承認、という記事もありました。こうした考え方もあるのだ、ということは学校でも教えていって、そのうえで「政治を選択する」ことができるようになったらいいな、と思っています。
www.jiji.com

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 この本を読んで、ベーシックインカムだけでなく、著者のルトガー・ブレグマンに興味を持ったので、いろいろと検索をしてみました。
 TED2017で著者のルトガー・ブレグマンが「貧困は「人格の欠如」ではなく「金銭の欠乏」である」というテーマでプレゼンをしていますので、こちらを入口として考えていくのもいいと思います。
www.ted.com

 また、この本『隷属なき道』をルトガー・ブレグマンが自ら出版を売り込んだ英「フィナンシャル・タイムズ」紙の記者とのインタビュー記事も見つけました。こちらもとてもいいと思います。「知ること」「考えること」「社会を変えていくこと」に対して謙虚に向き合っている様子がとても好きで、これから追いかけていきたいと思いました。
courrier.jp

 ちなみに、この本のタイトルの「隷属なき道」は、ハイエクの「隷属への道」を本歌取りしたものです。ずっと続けて考えていかなければならない問題なのだと思っています。そのために、学校現場で、教育現場で、できることにはどんなことがあるのかを考えていく必要があると思います。

隷属への道 ハイエク全集 I-別巻 【新装版】

隷属への道 ハイエク全集 I-別巻 【新装版】

(為田)