2020年7月15日に、ドルトン東京学園中等部を訪問し、起業家育成プログラム「ガイアックス特別ラボ起業ゼミ」の2回目の授業を参観させていただきました。
起業ゼミは、中学生からビジネスに触れる機会を増やすことで、実際の社会と繋がり学びを広げ深めること、そして起業を含めたキャリアの選択肢を広げることを目指している、ドルトン東京学園と株式会社ガイアックスとのコラボ授業です。中学1年生と2年生 全241人中60人が参加したガイダンスから28人が選抜されて、この日の授業に参加していました。
ドルトン東京学園の教室には、木之下瞬 先生とガイアックスのSTARTUP STUDIO責任者の佐々木喜徳さんがいて、Zoomで授業を行います。生徒たちはそれぞれの場所からZoomで授業に参加しています。また、ガイアックスのスタッフの方も授業をサポートするために、オフィスからZoomで参加していました。
オンラインでの授業が先生方にも生徒たちにも身近になっていくことで、学校へゲストスピーカーを招く事例が多くなってくるように思います。
木之下先生は授業の最初に、「自信をもって、積極的に。自由に深堀りした学びをしてほしい」と生徒たちに向けてメッセージを送りました。
最初に、起業について生徒たちに「スタートアップが失敗する確率は何%でしょう?」と質問がされました。生徒たちはチャットに答えを書いていきます。正解は93%。ほとんどが失敗するということを知ってもらったうえで、「なぜ失敗するのか」を考えていきました。
失敗したサービスの共通点がわかれば、成功確率を高める方法を知ることができます。こうして、「どのように考えるのか」ということを身につけることができれば、「起業」というゴール以外にも、学びの方法として大きな武器を手に入れることができます。具体的な事例で、いろいろなところに応用可能な手法を手にすることができるのは、授業設計として望ましいと思います。
今回の授業では、起業家がビジネスアイデアを考えるときに使う「リーンキャンバス」について学びました。事前に生徒たちに配布されていた、ガイアックスが自社で使っている「Gxスタジオキャンバス」を見ながら、以下の5つを書き込むことが紹介されます。
- 課題:顧客の課題
- 顧客:ターゲットにする顧客
- 独自価値:他のサービスより優れている価値
- ソリューション:サービスの機能/特徴/解決策
- Why You?:なぜあなたがそれをやるのか?
練習として、25分間でYouTubeを題材にして、リーンキャンバスを実際に書いてみます。いまの中学生は、YouTubeで動画を見たことがあったり、YouTubeで動画を簡単に投稿できることを知っている人が多いと思いますが、最初のYouTubeはいまとは違う使われ方をしていた、など、興味深いコメントが先生からされていました。
Zoomのブレイクアウトルームの機能を使って、少人数のグループに分かれてリーンキャンバスを書いていきます。それぞれのブレイクアウトルームにガイアックスのスタッフの方がついていたので、いつでも質問もできるようになっていました。
佐々木さんは参加していたブレイクアウトルームで、「リーンキャンバスは正解がない」「1.課題のところは、困っていることやできないことなので、“○○がしたい”とかよりも、“○○ができない”というふうに考えるといいよ」というようなアドバイスを生徒にしていきます。
生徒たちはリーンキャンバスを紙でもらっているし、データも持っているのですが、木之下先生はこのときに、ZoomのチャットにもPPTデータをアップしました。生徒たちは、オンライン授業で、さまざまな形で教材にアクセスができるようになっていました。
「リーンキャンバスは、起業家の人たちにとっては、カジュアルにペラペラと書いていくもの。100枚くらい書いて、その中の1枚から次のステップへ進むものが出てくるかも、みたいな感じ」と佐々木さんは言います。こういったリアルな声を実際にスタートアップビジネスの最前線にいる大人から聴くことができるのは、こうしたコラボ授業の大きな利点だと思います。
こうしてリーンキャンバスをどんなふうに書くのかを学んだので、次回の授業では、自分の事業のアイデアを考えていくそうです。
No.2に続きます。
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(為田)