教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

成城学園初等学校 第38回 教育改造研究会 レポート(2020年9月26日)

 2020年9月26日に、情報一貫教育推進検討委員会アドバイザーとして関わっている成城学園初等学校で開催された「第38回 教育改造研究会 ~コロナ禍での学びを考える~」にて、全体会での総評と質問コーナーに登壇させていただきました。今回は、オンラインでの開催となりましたが、100名を超える参加があったようです。
 プログラムの最初は、5つの実践報告(「コロナ禍での学校の取り組み」「HRの実践(低学年)」「HRの実践(高学年)」「動画作成・配信」「体育科の取り組み」)それぞれにZoomでミーティングIDが設定され、参加者が移動して聴く形になっていました。
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 成城学園初等学校でのさまざまな実践が紹介されていましたが、オンライン授業はもちろんですが、それ以外の実践も紹介されていました。学校がただ授業を教える場ではなく、他にもさまざまな機能を持っている場だということを実感させられました。新年度には学級開きもやっていましたし、オンラインレクやゲーム、体操の配信、養護教諭による感染対策の説明なども行われていました。
 知っている先生方の顔が見えて、いろいろな情報を届けてくれる、ということの心強さが保護者の皆様にはあったのではないかと思いました。
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 実践報告後に、僕は総評を行ったのですが、それぞれの学校によって求められる「ICT活用の仕方」は違うということをお伝えしました。
 そのうえで、児童生徒が一人1台で情報端末を持つことは頻度を上げて使うことができるようになるということであり、そうした活用を考えてほしいということをお伝えしました。一人1台の情報端末を持ち、今回の実践で報告された事例や授業のように、Zoomやスクールタクトなどのツールを使いこなすようになれば、どんどんオンラインとオフラインはシームレスに繋がるようになっていきます。そのときには、「距離」に関係なく学べる、というだけでなく、何を一緒に学ぶ必要があるのかと「同期/非同期」の軸で授業を設計することと、誰と何をどうやって学ぶか、「個/協働」の軸で授業を設計することが必要になってくるのではないかと思っています。
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 この総評の後で、授業が公開されていて、2年生の国語、6年生の数学(算数)、2年生の舞踊(成城学園らしい授業でした!)、4年生の英語をZoomで見ることができました。このうち、数学(算数)と舞踊は教室に児童が来て授業を受けていました。英語と国語はブレイクアウトルームを使って交流活動をしていました。子どもたちのつぶやきがすごく近く聞こえるし、先生とのやりとりとしてはときに教室での活動よりも密になる部分もあったと思います。
 こうした授業も、「同期/非同期」の軸と「個/協働」の軸を入れてみて、そこに先生方が積み重ねてきた知見が加われば、新しい授業の形ができていくのではないかと思いました。
 GIGAスクール構想の実現による学校へのICTの実装への準備もそうですし、新型コロナウイルス対策でのさらなる休校や分散登校などの事態への対応もとっていくために、授業の設計にICTやオンラインのできることを加えていく流れを加速させていくお手伝いをしていきたいと思っています。

 最後の質問会では、成城学園初等学校の秋山貴俊 先生とご一緒させていただきました。秋山先生も、コロナ禍での休校期間中にはさまざまな取り組みをされていました。(そんな秋山先生の書籍も発売されます!)
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 参加していただいた皆様とのディスカッションもできて、僕自身も非常に学びの多い研究会となりました。

(為田)