2022年2月5日にゲストスピーカーとして参加させていただきました、教育・学びの未来を創造する プラットフォームin戸田で、「非認知能力を育むためのICTの活用とは」というテーマだったのですが、チャットで多くのコメントと質問をいただいたのですが、時間内で触れることができなかったものがいくつかありましたので、ここで公開する形で返答をさせていただきます。ご参加の方に届けばいいな、と思っています。
非認知能力を育むテーマについて
非認知能力を育むことをねらいとして自分で行った授業のテーマを紹介したのですが、それについての質問をいただきました。
Q:
「図書館の本の冊数の予想」のように、非認知能力を刺激するような取組例がありましたらいくつか教えてください。A:
「フェルミ推定」で検索をかけると、いろいろな事例が出てきます。僕は、「図書館で1年間に借りられている本の数」や「○○市で1年間で消しゴムは何個売れているでしょう」とかやったことがあります。
blog.ict-in-education.jp
このテーマについては、参考になりそうな書籍もこのブログで紹介していますので、そちらもどうぞ。
blog.ict-in-education.jp
また、「実際に授業のなかで行うときにはどうでしょう?」という、現場の先生ならではのご質問もいただきました。こうした質問こそ、プラットフォームin戸田らしいな、と思い、自分自身もさらに考えを深める機会になり、大変勉強になります。
Q:
【質問です】先ほどの「全員が1年間で図書館で借りる本の数は何冊?」のような正解のない課題を授業で取り入れていきたいのですが、時数がかかってしまい教科書の内容が終わらなくなってしまうのではという心配があります。限られた時数のなかで、非認知能力を育むことができるような豊かな学びを行うために、何か工夫されていることがありましたら教えて頂きたいです。A:
為田が担当している授業は、アフタースクールの授業なので、教科書内容とは関係ないことをしているからこそできる、という面もたしかにあります。
ただ、算数の授業で基本的なかけ算の立式や大きな数のかけ算などを教科書を使って解説し、そのあと練習問題で習熟を図り、その後で「全員が1年間で図書館で借りる本の数は何冊?」という課題を、パフォーマンス課題として出題している学校はあるかと思います。どの場面で、こうした非認知能力を育む問いを入れるのが子どもたちにとって適しているのかを先生方に判断していただくのがいちばんいいのではないかと思います。パフォーマンス課題に取り組むことで、「あ、かけ算ってこうやって使うのか」と思う子もいるでしょうし、「かけ算って、こんなことにも使えるのか」と発展的に気付ける子もいると思います。
新曽小学校での実践について
基調講演のあとのトークセッションでは、戸田市立新曽小学校の加藤貴嗣 校長先生に、新曽小学校の6年生が取り組んでいる卒業プロジェクトで、ICTを活用して非認知能力が伸びている様子を紹介していただきました。授業の様子を写真などでも伝えてもらいました。新曽小学校での実践についての質問をいただきました。
Q:
ビブスの色分け、心理特性を表しているように見ましたが、学級内の役割の固定化を避けるために、ICTを使ってどんな取り組みをされていますか?A:
ビブスの色分けは、役割で分けていました。自分の得意なこと、自分のやりたいことで、役割を分けていました。ICTは、その「自分の得意なこと」「自分のやりたいこと」を実現するためのツールとして使われていました。
Q:
【質問】子ども達に仕切らせるのは、発達段階(学年)にもよる部分もあるかと思いますが、どうなったら教師が介入(或いはファシリテーション)する線引きはどうされているのでしょうか?A:
新曽小学校の卒業プロジェクトについては、「子どもたちにできそうか、仕切れそうか」というのを、事前に担任の先生が見とったうえで、課題を設定していると思います。また、「こういう授業にする」というめあてを授業の最初にクラス全体で共有しているのも効果的だったと思います(めあてを共有するのも、子どもたちが自分でしています)。
ビブスの色分けや、先生のねらいなどについては、授業のレポートで一度まとめてありますので、こちらも参考になるのではないかと思います。
blog.ict-in-education.jp
まとめ
せっかくご質問をいただいていたのに、当日お答えすることができなくてすみませんでした。先生方からの質問は、「現場からの視線」であり、大変勉強になります。基調講演をさせていただきつつ、本当に先生方から多くのことを学ばせていただいた機会でした。ありがとうございました。
(為田)