2022年7月7日に西武学園文理小学校を訪問し、川上健吾 先生が担当されている算数の授業を参観させていただきました。この日の1時間目が学力学期に一度の定期テストだったそうで、テストの感想を授業の最初にロイロノート・スクールで聴かせてもらっていました。
「簡単だった」と思う人は水色のカードで、「むずかしかった」と思う人はピンクのカードで、感想を書いてもらうように川上先生が言うと、子どもたちはみんなそれぞれに感想を書き始めました。
どんな問題が出題されたか、教科書を見てテスト範囲をふりかえりながら書いている子もいました。
川上先生は、「提出してもらったものはみんなが見られるように共有するけれど、今回は名前を出さないので安心して書いてください」と言っていました。提出し終わった子は提出箱でクラスメイトが書いた感想を読むことができます。カードの色で分けていたので、ひとめでわかるようになっています。いろいろと工夫をしている子もいて、水色とピンクで半分ずつくらいになるように書いている子もいました。
テストの感想を書いてもらった後は、教科書を開いて、グラフについての学習を進めていきました。グラフを書くための方眼をロイロノート・スクールで配布して、表を見ながらiPad上で点をとり、線を引いてグラフを書いていきます。
ここで、「これ、やりにくい」と言う子と、「やりやすい」と言う子がいました。紙面とiPad上のどちらの方がやりやすいかは人によります。紙でグラフを書いているときは、何度も書き直すと紙が汚れたり破れたりしてしまうこともあります。一方で、グラフの上に点を置くときには細かい操作が紙の方がやりやすい、ということもあります。デジタルとアナログのそれぞれの良さを理解してもらうために、あえてiPadでグラフを書く活動を入れることで、子どもたちのなかで自分で選べるようになってほしいという川上先生の意図を感じました。
川上先生から、「表やグラフにきまりがあるか?」と追加で質問がされました。グラフを書いた下に、どう思うかをみんなに書いてもらい、提出してもらいます。
提出されたカードはみんなに共有されているので、クラスメイトの書いた考えを読むことができます。子どもたちからは、「俺のより、○○の方が良い気がする。わかりやすい」というような言葉も出ていました。こうして、他の人がどんなことを考えているかを、短時間でたくさん読むことができるのは、デジタルを活用する強みだと思います。
授業の最後に川上先生が何人かのカードを紹介しながら、「使っている言葉は違うけれど、同じことを言っていることもあるよね」と子どもたちに伝えていきました。クラスメイトが書いた良い意見を読んで、自分が提出したカードを書き直して提出しました。他の人の考えを読んで、自分の考えを書き直し、それをすぐに提出できるのもデジタルの良さです。こうした活動をさまざまな授業の中で繰り返していくうちに、他の人の意見と自分の意見とを組み合わせていくことや、他者の意見を受け入れていくことの良さを学び、その先に協働をする学びへ繋がっていくのではないかと思います。そうした良さを感じることができるような活動を授業の中でたくさん作ることが重要だと思います。
(為田)