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戸田市立戸田東小学校 授業レポート No.1(2022年9月8日)

 2022年9月8日に戸田市立戸田東小学校を訪問し、山下佳菜 先生が担当する4年1組の国語の授業を参観させていただきました。

 授業の最初に、ホワイトボードに漢字のフラッシュカードを投映して、みんなで漢字を読んでいきます。ホワイトボードに大きく映すことで、教室のどこからでも見える大きさの文字で、次々と表示することができるようになります。

 今回の授業のテーマは「いろいろな意味をもつ言葉」でした。最初に山下先生は、「ぼうしをとってください!」と書かれたスライドを表示します。「ぼうしをとってください」という文章だと、「ぼうしを手渡す」意味と「ぼうしをぬぐ」意味と、両方にとることができることに子どもたちは気づいて、「どっちの意味?」と大きな声で質問してきます。
 山下先生が「どうしてどっちの意味かわからなくなってしまうんでしょう?隣の人と相談してみて」と言うと、子どもたちからは「同じ言葉だけど、2つの意味がある」「“ぼうしをとってください”の前に、“体育の”とか説明がないから」「具体的に言われないとわからない」という声があがっていました。

 山下先生は、「とる」には「もってくる」と「ぬぐ」という2つの意味があることを説明します。そして「とる」には他にも意味があるかを国語辞典で調べてみよう、と言います。
 みんなで国語辞典で「とる」を調べて、見つけた意味を発表してもらいます。「しゃしんをとる」「うけとる」「つかまえる」「食べる」などの意味が発表され、山下先生はそれをホワイトボードに書いていきました。

 ここで、山下先生は川崎洋さんの詩「とる」をホワイトボードに投映して見せます。詩の中では「すもうをとる」「ぼうしをとる」「でまえをとる」…と、いくつもの「とる」が違う意味でくりかえし使われていました。最後に、詩に出てくる「とる」に動きをつけながら、みんなで一緒に詩を読みました。

 ひとつの言葉が、いろいろな意味をもつことがあるとわかったので、ここからは「とる」と同じようにいろいろな意味を持つ言葉を探していきます。学習グループで話し合って、調べる言葉を分担してもらったので、たくさんの言葉を調べることができます。

 子どもたちは、ロイロノート・スクールを開いて、資料箱からとった教材カードを開きます。教材カードには、上にピンク色のカード、下に水色のカードが並べられています。
 まずいちばん右側に、調べる言葉(「とる」など)を書きます。次に、その言葉を国語辞典で調べてピンク色のカードにその言葉の意味を書きます。最後に、その下の水色のカードにその言葉の意味を使った文章を書きます。
 ピンク色のカードと水色のカードは5つあるので、5つまで意味を書けるようになっています。

 みんな国語辞典をひきながら、どんどん書いていきます。同じ言葉で5つ以上の意味を調べている子もいますし、新しい言葉を調べている子もいました。最初の予定は10分間でしたが、予定の時間を過ぎても集中していたので、「じゃあ、あと3分」と時間が延長されました。

 一人1つ調べた言葉をグループで発表して、グループで共有していきます。グループで調べる言葉を分担したので、クラス全体でたくさんの言葉を調べることができていました。子どもたちは、「たくさん意味を持つ言葉が、思ったよりたくさんあった」と言っていました。

 調べた言葉を、提出箱に提出してもらい、クラスの中で1人だけが調べた言葉(「たつ」や「なる」)について、発表してもらいました。

 授業の最後に、ふりかえりを書いてもらいます。子どもたちはロイロノート・スクールで、自分で新しく白いカードを作ってふりかえりを書いて、提出箱に提出します。
 いろいろな意味をもつ言葉がたくさんあることがわかったので、「具体的に言ったり、修飾語をつけたり、別の言葉で言い換えることで、意味の違いがわかるようになる」、ということに気づいて、ふりかえりに書いている子もいました。

 次の授業では、いろいろな意味をもつ言葉を使って自分たちで詩を作っていくそうです。自分で調べた言葉に加えて、クラスメイトが調べた言葉も提出箱で見ることができるので、たくさんのアイデアを使って詩を作ることができるなと思いました。

 No.2に続きます。
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(為田)