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関西学院初等部 授業レポート No.1(2023年9月22日)

 2023年9月22日に関西学院初等部を訪問し、宗實直樹 先生が担当する4年B組の社会の授業を参観させていただきました。
 最初に宗實先生が「オリンピックと言えば?」と子どもたちに質問すると、子どもたちから「野球」「サッカー」「パラリンピック」「5つの輪」「ウサイン・ボルト」とさまざまな言葉が出てきます。一人ずつの答えに宗實先生が受け答えをしていくなかで、だんだん子どもたちの発想が広がっていき、最後に「メダル!」という言葉が出ました。そこで、宗實先生は2012年と2016年のオリンピックのメダルの写真をプロジェクタに映して、授業へと入っていきます。

 メダルの写真を見て気づいたことを子どもたちが言っていきます。「5つの輪がない」「ほんまや!」とクラス全体での言葉のやりとりが新しい気づきを生んでいきます。そのなかで、宗實先生が「目に見えないところに気づいてないなー」と言うと、一人の子が「人が作ったメダルと、機械が作ったメダル?」と言いました。その言葉に、宗實先生が「近づいてきた!」と言うと、「どっちかが金、どっちかがリサイクルされたもの?」とこの日の授業のテーマに繋がる気づきが出てきました。
 宗實先生は、プロジェクタで映した2つのメダルを示しながら、「2012年のメダルは0%がリサイクル。2016年のメダルは、30%リサイクルなんです」と言います。「では、次の東京大会では?」と宗實先生が続けます。なんと答えは100%リサイクルでした。その答えを聞いた子どもたちからは、「ゴミじゃん、やだー」という素直な感想も出ていました。

 金メダルをリサイクルするための金がどこにあるのだろう?という疑問を出して、宗實先生は「都市鉱山」という言葉を提示し、金属資源が電化製品や時計などの中に金があることを伝えます。

 2020年の東京オリンピックで渡す5000個の金メダルをリサイクルで作るために2年間で金を集めようとしていました。「電化製品などの中に金があるといっても、どれくらい私たちは捨てているんだろうと思って、電話で話を聴いてみました」と宗實先生は子どもたちに言います。
 こうして宗實先生自身が、自分の好奇心に従って自分で電話をしてみて、直接情報にあたろうとした行動を子どもたちに共有するのがとてもいいと思いました。こうした宗實先生の姿勢を子どもたちが見て、自分たちも「知りたいことがあったら自分で行動して調べてみたらいい」と思うマインドセットをもっていくのだと思います。

 電話で話を聴いたら、金メダルのリサイクルは、2年間の計画だったものの、1年が終わった時点で13%しか集まっていなかったそうです。でも、2年できちんと集まって金メダルを作れた。2年目の巻き返しがすごかったということです。

 「どうしてだと思う?」と宗實先生が質問すると、「みんながめっちゃすてた」「世界の大会だから、世界から集めたんちゃう?」「iPhoneを作る量が増えたから、iPhoneを捨てる量も増えた?」と子どもたちがいろいろな仮説をたてて発表してくれます。
 子どもたちの予想を聴きながら宗實先生は「おもしろいなー」と子どもたちの発想を先生が楽しんでいます。すぐに正解を与えてしまうのではなく、みんなで仮説をたてて考えていくことの楽しさを、子どもたちが感じていたように思いました。

 たくさんの仮説が出てきて、子どもたちはどんどん問いに惹き込まれていきます。「どうやったの?教えてください!」と子どもたちからは声があがっていました。ここで簡単に正解を教えるのではなく、自分たちの仮説を資料を見ながら確かめていく活動に入ります。
 宗實先生は、ロイロノート・スクールで子どもたちに「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」の資料を送ります。
 すぐに自分で検索してみたい、という子もいましたが、宗實先生は、「検索したら出てきそうだけど、いったん、みんなで開く資料を見よう」と言っていました。最初から自由に調べる活動に入るのではなく、最初の情報源を同じものにすることで、共通理解の基盤を作ることができると思います。そのうえで、自由に調べ学習をすると、最初に見た資料の上に情報を積み重ねていくことができると思いました。

 みんなのメダルプロジェクトのサイトを読むと、リサイクルする小型家電を協力してもらって集めていたことがわかります。いまも、イベントで集めていたり、回収ボックスを市役所などに置いたりしていることがわかりました。

 「リサイクルのために回収している」ということがわかったら、さらに自分の興味を深めていくために各自で調べる時間をとりました。子どもたちは、自分で調べてわかったことを、宗實先生に見せに行って説明したり、周りのクラスメイトに伝え合ったりしていました。

 各自がメダルプロジェクトについて調べていろいろわかってきたら、宗實先生は「なんでメダルプロジェクトやったの?」と質問して、ロイロノート・スクールでなぜメダルプロジェクトをするのか、その理由を1枚のカードに1つずつ、たくさん考えて書いてもらいます。一つだけ書いて提出するのではなく、できるだけたくさん書くという課題なので、多角的に物事を見ることに繋がると思います。

 子どもたちは、「ゴミが多いから!」「SDGsだから!」「金がなくなっちゃう」「電化製品作れなくなっちゃう」などの意見を出していきます。そのなかで、一人の子が「すべてつながってる」と言うと、宗實先生は「すごくいいね。どうつながっているのか考えたらいいよね」と応えます。
 似ているカードがあったら近くにカードをまとめて、何に着目してカードをまとめたかをピンクのカードで書きます。こうして似た要素をまとめてラベリングをしていくことで、情報を整理してまとめていくことも、そこからまた考えを広げたり深めたりできるようになっていくと思います。

 自分で思いついたことをカードに書くだけでなく、前に授業で使ったカードなどを取り込んで自分なりに思考を広げている子もいました。また、そうした工夫をしている子を宗實先生がみんなに紹介することで、「そういう考え方や学び方があるのか」ということを教室で共有することができます。こうしたことができるのは学校で学んでいるからこそだと思います。

 そうして一人ひとりが自分で「なんでメダルプロジェクトやったの?」について考えたことをカードに書いていくと共に、周りのクラスメイトがどんなことを考えたのかも見合うこともしていました。

 ここで授業時間が終了となったので、できたところまでで提出箱に提出してもらって、続きは次回の授業で行います。
 途中の段階でも、どのようなことを子どもたちが書いているのかを宗實先生は見ることができるので、次回以降の授業を考えるときに、子どもたちの現状を反映させることができます。

 No.2に続きます。
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(為田)