教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

近畿大学附属小学校 授業レポート No.3(2022年10月3日)

 2022年10月3日に近畿大学附属小学校を訪問し、塚本恵梨 先生が担当する6年竹組の社会の授業「豊臣秀吉の全国統一への道 3つの立場で深めよう」を参観させていただきました。

 塚本先生は、最初にルーブリックを提示して、どんなことができるようになってほしいのかをクラス全体で共有していました。
 大名、町人(職人・商人)、農民の3つの立場から、秀吉の人物像についてふりかえり、秀吉が取り組んだ3つの政策(検地、刀狩り、外国との関係)について教科書やNHK for schoolなどを使って調べて、わかったことをノートにまとめていきます。その後で、クラスメイトと交流して、さらに深めていく授業です。塚本先生は、「さまざまな資料を使って調べて、考える根拠をたくさんノートに蓄えてほしい」と子どもたちに伝えていました。

 前の授業までに、一人ひとりが最初にどの立場から深めていくか、赤:大名、黄:町人、緑:農民の3色でカードを色分けして、ロイロノート・スクールで提出してもらっていました。
 まずは自分が選んだ立場で知識を深めて、次に自分とは違う立場を選んだ子と交流してお互いに深めた知識を補い合うようになっていました。同じ色を選んでいる人とは、調べた内容の共有をすることができますし、違う色を選んでいる人と話をすれば、違う立場で調べた内容を知ることができます。

 授業の最初に塚本先生が説明した授業の進め方は、ロイロノート・スクールでみんなに送ってあり、子どもたちはいつでもポイントをふりかえることができるようになっています。

 話し合いながら、ノートに書いていきます。教科書を読む子もいるし、NHK for Schoolを見ている子もいました。自分でどの資料・教材を使えばいいかを選べるようになっていました。

 教科書だけでなくて、さらに広げて調べていけるように、塚本先生は図書室から本を追加資料として持ってきていました。

 塚本先生は「調べて写すだけにならないようにね。教科書に書いてあることをいちいち調べることはないよ。時間を上手に使って。あるものは使いましょう」と子どもたちに伝えていました。この言葉はとても印象的でした。
 黒板には、「教科書 p.132-133、資料集 p.78, 80, 83」と参照すべきページも書かれていました。教科書も資料集も情報が非常によくまとまっているので、最初にあたるべき文献としてうまく使って、教科書や資料集には書かれていないことをさらに広げ、深めていくためにインターネットで検索したり、図書資料などを調べていくというふうになるといいと思います。
 教科書や資料集などから、使う資料を広げて知識を深めていけるように、こうして自分でさまざまな資料にあたって情報の質と量の違いを体験することは大事だと思います。時間はかかるけれど、するべき活動だなと思いました。

 授業の最後に、次回以降の流れを確認しながら、塚本先生は「資料の使い方、あるものの探し方、ロイロを見て話し合ったり、ルーブリックを見ながら、やるべきことを確認してください」、と子どもたちに伝えました。先生が何をすべきかを全部指示するのではなく、子どもたちが自分でどう学べばいいのかを考えていく授業だと感じました。
 最短距離を行けるわけではありませんが、こうして時間をとって、子どもたちに学び方を選ぶ時間を与えて任せてみることはとても大切なことだと思います。

 No.4に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)