2022年12月7日にさとえ学園小学校を訪問し、鈴木俊喜 先生が担当する6年3組の国語の授業で、中学入試対策で過去問に取り組む授業を参観させていただきました。問題を解いた後で3人グループで答え合わせをし、解説を自分たちで作っていく演習授業でした。
授業の最初に、鈴木先生は目指す目標としてBからSSまでの4段階のルーブリックを黒板の上のモニターに表示して説明します。4段階のルーブリックは以下のようになっていました。
- B. 解答への道筋を説明できる
- A. 的確な資料で分かりやすくできる
- S. 反対意見や疑問が出やすいポイントを強調して解説できる
- SS. 他の問題でも応用ができる「解法の抽象化」
このルーブリックを見ると、この授業は過去問の問題を解く演習授業ですが、一人でただ正解を出せればいいというのではなく、それを他者に正確に適切に伝えることができるようになることを求めていることがわかります。最上位のSSでは「解法の抽象化」が求められるので、目の前の問題を正解するだけでなく、そこでの解き方や考え方を他の問題でも応用できるようになることが求められています。
このルーブリックを実現するために、鈴木先生は「KeywordはC」だと言います。モニターには、「Communication(意思疎通)→Collaboration(相互作用)」「Critical Thinking(批評的思考)」「Common Knowledge(共通の知識)」の4つのCが映し出されていました。
最初は一人で問題を解きますが、グループで答え合わせをして解説を作っていくので、「Communication(意思疎通)」が必要になります。グループで一緒に解説を作るなかで、自分だけが解けるのではなく、みんなで解けるように「Collaboration(相互作用)」をしていきます。他の人にもわかりやすく伝えるために「Critical Thinking(批評的思考)」をして多角的に検討し、論理的・客観的に理解することができるようになります。また、他の人に伝わる解説をするために「Common Knowledge(共通の知識)」について考えることも重要になります。グループでわかりやすい解説を作る過程で、4つのCを考えることが求められています。
今回の授業では、2つの問題を5グループずつで担当していました。最初は一人で問題に取り組んで、その後でグループごとに答え合わせをし、グループで話し合ってベースとなる答えを1つ選びます。
グループでベースとして選んだ解答をもとに、全員が納得する答えを作り、iPadでKeynoteを使って解説を作っていきます。Keynoteで作ることで、テキストに色をつけて解説したり、図に手書きで解説を追記することもできます。
グループ内で解説をし合って終わりではなく、最後に他のグループ向けに解説をプレゼンテーションするので、わかりやすい資料を揃えたり、見やすいレイアウトを考えるようになっています。画面の拡大表示・縮小表示もできるので、見やすいようにそれぞれのグループで工夫されていました。
一人1台のiPadでZoomを使うことで、ノートやプリント、解説資料を画面共有で見せることができて、休んでいる子もキャッチアップできていました。教室にいなくてもコミュニケーションをとることもできます。
それぞれのグループで作った解説も、画面共有して見せることを前提にすると、どうやって作ればいいのか、どういう工夫をしたらいいのかという観点も変わってくるだろうな、と感じました。
No.2に続きます。
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(為田)