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さとえ学園小学校 授業レポート No.2(2022年12月7日)

 2022年12月7日にさとえ学園小学校を訪問し、須田智之 先生が担当する6年1組の国語の授業を参観させていただきました。6年3組の授業と同様に、中学入試対策で過去問に取り組む演習授業を行っていました。入試に向けては試験問題をただ解いていくだけになりがちですが、須田先生の授業ではグループで作った解説をクラスに向けてプレゼンテーションする活動を取り入れていました。

 一人1台のiPadを活用して、解説のプレゼンテーションに使う資料を作成しておくことで、視覚的にわかりやすい資料を作ります。解説資料を作成することで、子どもたちは正解をただ伝えるだけでなく、正解に至った思考の過程を言語化・可視化することもできるようになることを求められています。
 また、国語の解説だと、本文と問題文を行き来しながら解説するので、どこを説明しているのかがわからなくなってしまいがちですが、解説のための資料を作ることで、そうした問題を解決することもできます。

 子どもたちの解説プレゼンテーションは、黒板の上のモニターに投映されます。解説の間に、須田先生は正解をまとめて板書していました。モニターに映る解説資料と、黒板にまとめられた正解、その両方を教室の子どもたちは見ることができます。子どもたちが行う解説プレゼンテーションで不十分なところがあれば、須田先生が補足しながら解説をしていました。

 入試問題対策に力を入れなければならない学校は多くあると思います。中学入試だけでなく、高校入試、大学入試まで考えると、多くの問題演習の授業が全国で行われていると思います。そうした状況で、さとえ学園小学校の6年生の授業での、解説プレゼンテーションを子どもたちがグループで行うという形式は、ヒントにできる部分もあるのではないかと思います。

 演習で取り上げる問題のなかには、言葉や事象を覚えているかだけを試す問題もあると思います。そうした問題であれば、解説プレゼンテーションはあまり必要ないかもしれません。ですが、文字数が決まっている記述を求める問題や自由記述の問題などであれば、ICTを活用することで「クラスメイトはどんな回答を書いたのか」を一斉に見せることができます。これはICTを活用する大きな強みだと思います。
 正解の回答だけでなく、部分点を与える回答や、減点が大きな回答を板書したりしなくてもすぐに見せられて、クラス全体で解説を検討していくということもできます。
 学びの個別最適化の事例としてデジタルドリルでどんどん進めていくという形と、こうして解説をクラス全体で行う機会を設ける形とを併用することは、問題演習の授業でのICTの活用として大きな可能性があるのではないかと思っています。どの問題はデジタルドリルでやっておけばいいのか、どの問題は「正解は ウ です」というふうに正解だけ言えばいいのか、どの問題はみんなで回答を検討すればいいのか、その判断こそが先生方のすべき仕事になると思います。

 No.3に続きます。
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(為田)