佐々木潤先生の『個別最適な学び×協働的な学び×ICT入門』を読みました。宮城県の公立小学校に勤務する佐々木先生の、ICTを活用したさまざまな授業実践を知ることができる本です。
「はじめに」に書かれている佐々木先生の言葉に、賛成する先生はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
私も昔は一斉指導をいかに工夫するか? ということに重きを置いてきました。個人差への対応も一斉指導をベースにしていました。しかし、十数年前からそれには限界があることに気付き、個に応じる学習や協同学習などに取り組んできました。そうしたらどうでしょう。子どもたちは、学習に意欲的に向かい、学びを深めるようになってきました。
そして、今年。勤務校でも本格的にGIGAスクール構想に伴う1人1台端末が実現し、さらに加速しています。「個別最適な学び」「協働的な学び」はICT活用によって、より効果的なものになりました。(p.6-7)
一斉指導がいけないから全部なくしましょう、というのではなく、いままで一斉指導ではどうしてもできなかった部分を、ICTを活用することでできるようになりますよ、という佐々木先生の提案だと思いながら読みました。
「1 基礎からおさえる! 」では、個別最適な学びの基礎と協働的な学びの例が書かれています。個別最適な学びも、協働的な学びも、1つの形が正解として出されているのではなく、類型がいくつかあるのがとてもわかりやすいです。
フローチャートも合わせて示されている、ここの類型の整理がとてもわかりやすかったです。こうして類型を見ていくことで、自分の授業でどの形を実現したいのか、 読者の先生方も考えやすくなるように思います。
- 個別最適な学び
- 例1 完全習得学習(マスタリーラーニング)
一斉指導を補足する個別学習- 例2 自由進度学習
自分のペースで進める学習
- 1時間内自由進度(1時間の中で自由に進める)
- 単元内自由進度(単元内の数時間の中で自由に進める)
- 単元を越えた自由進度(一つの単元が終わったら次の単元へと自由に進める)
- 例3 到達度学習
到達度に応じたグループをつくり、それぞれに合わせた学習を行う- 例4 課題選択学習
自分の学習スタイルや興味関心に合わせて学習する- 例5 課題設定学習
自分で学習課題を設定して学習する- 協働的な学び
- 構成的「協働的な学び」の例
- 非構成的「協働的な学び」の例
「2 各教科の授業デザイン」では、「国語」「社会」「算数」「理科」「その他の教科・学級づくり」とそれぞれでどんな授業ができるのかを具体的に知ることができます。
たくさんの事例を知りながら、「1 基礎からおさえる!」で書かれていた、個別最適な学びと協働的な学びの整理に立ち返っていくと、ICTを授業の中で活用してみたら、どんなふうに学びが変わりそうだろうか、と考えることができるのではないかと思います。
この本を読んで、たくさんの先生方が、子どもたちが持っている1人1台の端末を使ってみよう!と思ったらいいな、と思いました。
(為田)