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富士見市立針ケ谷小学校 学校研究発表会 レポート No.3(2023年12月6日)

 2023年12月6日に富士見市立針ケ谷小学校を訪問し、塩田恵也 先生が担当する6年2組の国語の授業を参観させていただきました。この授業は、11月29日の学校研究発表会の日に、残念ながら学級閉鎖となってしまい、見ることができなかった授業です。塩田先生から事前に指導案も見せていただき、子どもたちの学んでいる様子も見たかったので、改めて授業を参観させてもらう機会をこの日に作ってもらいました。

 この日の授業は、「やまなし」と「イーハトーヴの夢」を題材として、「筆者の思いをとらえよう」という授業でした。宮沢賢治が書いた物語「やまなし」の全体像や構成・叙述などの表現と、伝記である「イーハトーヴの夢」から読める宮沢賢治の思いや生き方を行き来しながら、宮沢賢治が「やまなし」で伝えたかったことは何かを考え、まとめていきます。

 塩田先生は授業の最初に、前の時間にオクリンクで提出してもらったふりかえりを書いたノートをモニターで映してみんなで見てみます。「意見が分かれたから、もっと話し合いたいな」「文章表現がリンクしている?5月が現実、12月が理想」など、子どもたちが書いたふりかえりをそのまま映して共有することで、この時間の活動へのとっかかりになったり、ヒントになったりすることもあると思います。

 この後で、グループに分かれて話し合っていきます。塩田先生はグループでの話し合いに際して、「根拠をもって話し合ってね。“なんとなく”は禁止です。どうしてそう考えたのか、ということを大事にして」と子どもたちに伝えていました。「グループでみんなの意見を聞いて、それを重ね合わせておしまい、ではなくて、宮沢賢治が伝えたかったことは何かを考え、まとめてね」と、単元のゴールをふまえてグループで話し合ってほしいと確認していました。

 その後は、子どもたちはグループに分かれて活動します。見ていて驚いたのは、デジタルではなく紙を選んでいる子たちがほとんどだったことです。紙で書くからこそたくさんの文章を一覧できるし、どんどん書いていくスピード感も生まれるように思います。塩田先生はPCでも紙でもどちらでもいいよ、と伝えたそうですが、子どもたちが紙を選んだとおっしゃっていました。

 また、教科書を開いて読み込んでいる子たちがとても多いと感じました。グループで話し合って出た意見を確認するために教科書を開き、文章を読み、また話し合う、ということができていたように思います。
 塩田先生がグループを回っていると、「5月のところ、つきつめていくといいんじゃない?」「カワセミが自然災害だとしたら、魚は?クラムボンは?」と問いがどんどん出てきます。そのまま塩田先生も子どもたちと一緒に本を読みながら考えている場面もよく見ました。先生も一緒に読み込んで考える姿勢を見せることはとても大事だと思います。子どもたちはそうした先生の姿勢を見て、文章を読むことの大事さや楽しさを知っていけるのではないかと思います。

 また、子どもたちは自分たちのグループの話し合いに没頭しているので、他のグループがどんなことを話しているかまで見て回る余裕はありません。塩田先生が回ってきて、「あのグループと同じようなこと考えてるかも」というふうにグループ同士を繋ぐヒントを出していることもありました。

 残り5分で、ノートにふりかえりを書き、オクリンクで提出します。塩田先生は、「ふりかえりを書き終わった人は写真で撮って送って。他の人のふりかえりを読んでいってね」と言います。

 最後に塩田先生は、1つのグループが書いた成果物を見せながら、そのグループが自分たちがそれまでに書いた内容に、「なんで?」と疑問を持って、自分たちで考え直している様子を紹介して、「こういうの、おもしろくない?」と子どもたちに言っていました。
 こういう活動をおもしろいと感じられる経験を授業ですることが、協働的な学びに繋がっていくだろうなと感じました。

(為田)