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戸田市立芦原小学校 授業レポート No.3(2024年2月21日)

 2024年2月21日に戸田市立芦原小学校を訪問し、塚越司 先生が担当する4年生の音楽の授業を参観させていただきました。音楽室には、大型モニターが3つ設置されていました。これらは、かつて普通教室に設置されていて、いまは使われなくなったものだそうです。授業の最初に発声練習として、歌詞をモニターに表示しながら、「花は咲く」をみんなで歌いました。

 「花は咲く」を歌い終えると、塚越先生が「パソコンを開いて、Kahoot!をしましょう。楽譜を読むには階名が読めないといけないので、今日は階名クイズをやります。正答率90%を目指してほしいな」と言うと、子どもたちは盛り上がります。
 子どもたちは自分のChromebookを開いて、Kahoot!に取り組みます。画面に表示される音符のイラストを読んで階名を答えていきます。
 最後にKahoot!のクイズレポートから、正答率を表示してみんなと確認します。「クラスの正答率は88%。みんな、できてますね。トップ10は正答率100%ですね」とふりかえります。Kahoot!で問題に取り組む形式にすることで、音符を読む練習を楽しみながら何度もすることができます。結果として、音符を読むことへの抵抗感を減らすことができれば、より音楽を楽しむことができるようになると思います。

 塚越先生が「では、『茶色の小瓶』をリコーダーで」と言うと、子どもたちはリコーダーと楽譜の準備を始めます。
 準備をしている間、これからリコーダーで吹く『茶色の小瓶』がBGMとしてスピーカーから流れていました。みんな準備しながら曲を聴いていて、途中で「Hey!」と合いの手を入れていて、音楽を楽しんでいる感じがしました。
 『茶色の小瓶』を楽しく聴きながら全員の準備ができるのを待って、みんなが揃ってからリコーダーでタンギングサミングの練習をしました。
 音楽のような実技教科では、準備に少し時間がかかり、しかも準備にかかる時間に個人差がある場合に、間延びしてしまって集中力が切れてしまうことがあります。塚越先生は、こうした間延びしてしまって子どもたちが「何もしない時間」をなくしたくて、音楽をかけている、とおっしゃっていました。

 塚越先生は、ロイロノート・スクールで子どもたちが楽器の演奏の練習をするときに使える動画を送っていて、子どもたちはその動画に合わせて練習をすることができます。こういう動画があることで、先生に見本を目の前で見せてもらえなくても、何度も動画を見て練習ができます。動画を見ながら一人で練習することも友達と一緒に練習することもできます。塚越先生は、「友達とやってもわかんない、という人は、ヘルプします」とも言っていました。一人で練習できる環境を作ったうえで、先生と一緒に練習をするという子をサポートすることもできるようになっています。
 また、動画の再生速度を調節することができるので、普通のスピードで練習するだけでなく、少し苦手なところは再生速度をゆっくりにして練習することもできます。自分に合わせた練習ができるようになります。

 最後に、『茶色の小瓶』の合奏のために、音楽室にある木琴、鉄琴、グロッケン、ミニキーボードなど担当する楽器に分かれて練習をします。

 授業時間が残り10分になったところで、「みんなで合わせてみよう」と塚越先生は言います。主旋律の楽器だけ、副旋律の楽器だけ…というふうにパートごとに順に演奏してみてから、最後にクラス全体で合奏をしました。こうしてみんなで音を出して合奏する楽しさは、みんなが同じ場所にいて音を合わせるからこその楽しさがあったと思います。
 クラブ活動や部活動などでみんなが一人で練習できて、演奏のスキルも自分で上げられる環境であれば、個人練習→合奏で合わせていく、という流れは普通だと思いますが、授業で楽器の演奏が苦手な子にとっては、個別練習のサポートをChromebookで動画を見ながら自分のペースでできるというのは、大きな意味があるのではないかと思いました。

 No.4に続きます。
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(為田)