2023年2月2日にさいたま市立大砂土東小学校を訪問し、天野翔太 先生が担当する3年4組の社会科「かわる道具とくらし」の授業を参観させていただきました。
授業の最初にKahoot!のサイトを立ち上げて、昔の道具についての問題に取り組みました。1人で取り組む子だけでなく、複数人数でチームを作ってKahoot!に参加している子たちもいました。
子どもたちはKahoot!にログインしてニックネームを設定し、問題を解いていきます。出題された問題のなかには子どもたちが作問したものもあり、正解と1文字違いの選択肢がひっかけとして用意されていたりして、盛り上がって取り組んでいました。
問題に取り組んだ後には、解説画面も表示されます。間違えてしまった子のなかには熱心に解説を読んでいる子たちもいます。Kahoot!を使ってゲーム形式にして楽しく知識習得を目指すことも大切ですが、正解・不正解による得点ばかり気にせず、解説をきちんと読むような雰囲気を作ることが重要だと思います。
なかには、Kahoot!の結果画面や解説画面をスクリーンショットして保存している子たちもいました。それぞれにKahoot!を学びに活用している様子が見られました。
この「かわる道具とくらし」の単元では、これまで「どうぐはどのように変化し、人々のくらしはどのように変わってきたのだろう」という問いについて、一人ひとりが自分で調べてわかったことをCanvaを使ってスライドにまとめていました。
Canvaで作ったスライドはPadletにアップロードしてあるので、子どもたちは自分で興味があるスライドを選んで見て、「いいね」をつけることや、コメントを書き込むことができます。
天野先生はコメントするときの注意として、「調べた内容についてコメントしようね」と言っていました。スライドの見た目のきれいさは、Canvaのようなツールを使えば簡単に実現できるので、そこで留まらずに調べた内容、まとめられている内容について読んで評価するように先生が伝えることが必要だと思います。
また、クラスメイトが作ったスライドを見ながら「学習問題(=「どうぐはどのように変化し、人々のくらしはどのように変わってきたのだろう」)につながりそうなことがあれば、ノートにメモしてね。時間的に全部見られないかもしれないから、興味のあるものから見ていくといいよ」と天野先生は言います。Padletでクラスメイトが作ったスライドを見ながら、ノートにメモを書いている子たちもたくさんいました。
しばらくみんなCanvaで作った作品を見ていましたが、Padletに書かれたコメントに名前が書いていないことが多かったので、一人の子が「みんな、名前をつけよう!」と言ってくれました。天野先生は「そうだね。ナイス!ありがとう」と答えます。子どもたちがPadletを学びに使うときにどういうところに気をつければいいのかを理解している様子が見られました。
子どもたちが自分でデジタルを学びに使うために必要なことに気づけるようになるには、こうした場面を何度も繰り返すことが必要だと思います。
天野先生の教室では、子どもたち一人ひとりが自分にとって快適な場所で授業を受けられるようになっていました。今回の授業であれば、Padletでクラスのみんなが作ったスライドを見ることができ、それについてのコメントの共有ができるようになっています。だから、先生が常に授業の進行の中心にいなくても、子どもたちが学べるようになっているのだと思います。
一人ひとりが自分のペースで、自分の興味関心に応じて、クラスメイトの作品を見てコメントを書いたり読んだりしているので、一人ひとりが自分にとっての快適な学び方を追求できるのかな、と感じました。
だからといって、先生の役割が教室のなかにないわけではありません。教室のなかには先生のサポートを必要としている子もいるし、先生との対話から新しいアイデアを思いつく子ももちろんいます。そうした場面を、先生は教壇を離れて見つけに行くことが出来るようになったのだと思います。
Padletを使って書かれたコメントのいくつかを、「“工夫”っていう言葉を使っている子もいるね」「今より昔の方がとっても大変だっただろうね」というふうに天野先生が紹介していきます。
「学習問題の答えを書くために、どういうキーワードがあればいい?」と先生が訊き、5~6人を天野先生がまとめて指名します。一人発言したら、次に発言する子を指名していき、「昔の道具」「工夫」「知恵」「変化」「今」「未来」などのキーワードが挙がってきました。他にも、「たとえば」や「など」という表現が多く使われていたことも天野先生は確認しました。
これらのキーワードや表現を使って、一人ひとりが「どうぐはどのように変化し、人々のくらしはどのように変わってきたのだろう」に答える文章を自分の言葉で書きます。
この場面では、Padletでの入力以外の方法も認められていました。問いに対してまとまった量の文章を書くならば、ノートに書きたいという子もいます。そうした子たちは、ノートに書いて撮影し、最後にPadletに投稿することになっていました。最終的にPadletに投稿するのは、クラス内で全員で読み合うことができるようにするためです。
今回の授業での問い「どうぐはどのように変化し、人々のくらしはどのように変わってきたのだろう」を考えるために、前にした七輪体験のときのPadletを見直している子もいました。Padletはみんなで同時に読み合うだけでなく、過去にみんなで書いたことを見直すためにも使うことができていました。
天野先生は、「文の長さよりも、中身!」「推敲してごらん」と子どもたちを励まします。10分くらい書く時間をとってから、みんなで同時にPadletに投稿しました。同時にずらっと並んだ文章を読んで、天野先生は「他の人が書いたのを読んでみて、新しいキーワードあったかな?」「この人の、すごくまとまってるな、というのも教えて」というふうに子どもたちに伝えていました。
Padletをはじめ、デジタルの良さは一度提出したものをもう一度書き直すことができることです。他の人の書いたものを読んで、新しいキーワードを見つけた子は、それを入れてまた文章を直し、再提出することもできます。こうした活動が入ってくることによって、問いにより深く取り組むことができるようになると思いました。
No.2に続きます。
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(為田)