KDDIまとめてオフィスのメディア「Think with magazine」で、法政大学キャリアデザイン学部図書館司書課程担当 教授であり、日本デジタル・シティズンシップ教育研究会 共同代表理事である坂本旬 先生のインタビュー「教育DXに欠かせない「デジタル・シティズンシップ」。教育現場のデジタル化で終わらせないためには」が掲載されていました。
僕もちょうど教育DXについて考えているところで、良いタイミングで読むことができたなと思っています。自分にとって新しい説明の仕方を教えてくれた2ヶ所を紹介したいと思います。
DXに含まれている「社会や人々の生活の向上」という考え
1つめは、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉についてです。「デジタル化」と何が違うのかを、坂本先生が解説されていました。
単なるデジタル化ではなくDX(デジタルトランスフォーメーション)をする必要があるということです。DXには「社会や人々の生活の向上」という考え方が含まれているため、そのためにデジタルをどう活かすかを考えなければなりません。
例えば、単にオンラインで英語を学ぶだけではデジタル化ですが、海外の子どもたちと交流しながら、どう社会問題を解決できるか議論するならば、その教育はDXにつながると言えるでしょう。英語を学ぶだけならこれまでの教科書でもできましたが、世界とつながるための教育はデジタルだからこそのメリットがあり、そのような教育にこそテクノロジーが使われるべきだと思います。
教育DXに欠かせない「デジタル・シティズンシップ」。教育現場のデジタル化で終わらせないためには | Think with Magazine
DXには「社会や人々の生活の向上」という考え方が含まれていて、そのためにデジタルをどう活かすかが、ただの「デジタル化」との分岐点ということだと思います。何のためにデジタル化をするか、ということを考えるということか、と思いながら読みました。
「デジタルタトゥー」はネガティブな側面しか捉えていない
デジタルでの発信は消せないから注意が必要だ、という話の流れの中で、「デジタルタトゥー」について解説されていました。
世間では「デジタルタトゥー」と呼ばれていますが、デジタル・シティズンシップの観点から見ると、その呼び方は適切ではありません。たしかにデジタルでの発信は消せないという特徴がありますが、この呼び方はネガティブな側面しか捉えていません。
そのため、デジタル・シティズンシップの観点では「デジタル足跡」と呼んでおり、どんな足跡を残すかは自分たち次第というメッセージを込めています。今やデジタル足跡は進学でも就職でも必ず見られるため、誰に見られても恥ずかしくない足跡を残すように教えることが重要だと思います。
教育DXに欠かせない「デジタル・シティズンシップ」。教育現場のデジタル化で終わらせないためには | Think with Magazine
たしかに「デジタルタトゥー」という言葉は、昔の時代に囚人が入れられた入れ墨を思い起こさせて、ネガティブな側面でしか言葉として聞かないような気もします。
デジタル・シティズンシップでは「デジタル足跡」という言葉を使っていることは知っていたのですが、デジタルタトゥーとの比較で説明をしたほうが先生方には伝わりそうだと思いました。
僕自身、このブログを書き始めてもうすぐ10年になりますが、まさしくこのブログこそが、僕の「デジタル足跡」だな、と思います。初対面の先生に「ブログ、読んでます」と言われたことが何度もあります。自分自身が忘れてしまっているエントリーを覚えていてくださっていて「あれ、好きでした」と言ってくださる方もいます。こうした「デジタル足跡」は、たしかに僕にポジティブな成果を与えてくれているなと思いました。
まとめと感想
DXやデジタル・シティズンシップを頑張ろうとしている学校や先生をサポートする機会も多いので、坂本先生のおっしゃっていることを自分のなかに取り込みつつ、先生方とディスカッションしたいなと感じました。
(為田)