教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

192Cafe企業コラボイベント「192Cafe meet デジタル地図帳」レポート(2024年8月8日)

 2024年8月8日に、192Cafe企業コラボイベント「192Cafe meet デジタル地図帳」をTOPPAN小石川ビルの会議室で開催しました。192Cafeは、私立小学校の先生方を中心としたコミュニティで、為田は事務局としてお手伝いをさせていただいています。
 これまで192Cafeでは大きなテーマを設定して公開イベントを行ってきましたが、今回はじめての企業コラボとして帝国書院さんに協力していただいて「デジタル地図帳」に絞って深めるイベントとしました。
 私立小学校の先生だけでなく、公立小学校の先生・教育委員会の先生方にが参加してくれて、1人ずつに帝国書院の学習者用デジタル地図帳「楽しく学ぶ小学生の地図帳」のIDをお渡しして自由に使っていただきました。

デジタル地図帳 活用事例紹介&機能紹介

 最初に、学習者用デジタル教科書を使っている授業事例として、TOPPANのデジタル教科書プラットフォーム「EduHub」のサイトで書いた、東京学芸大学附属小金井小学校の授業レポートを紹介しました。
 授業の中で東京学芸大学附属小金井小学校の子どもたちが使っていた、愛知県の自動車産業を取り扱った地図を表示して、レイヤー機能を使って地図上に表示する情報を増やしたり減らしたりできることを見てもらいました。
t.co

 もう一校、成城学園初頭学校の授業で見せていただいた、アンケート集約地図化ツール「まっぴん」の実践を紹介しました。先生がアンケートを子どもたちに出す→子どもたちが都道府県・市町村を回答→投票された都道府県・市町村が地図上で色が塗られて表示、が実現できるツールです。

 そのほかにも「距離計測」「都道府県映像クイズ」「プログラマップ」「デジタル地球儀」などの機能を使うことができることを紹介しました。

みんなで一緒にわいわい教材研究 with 帝国書院チームの皆様

 デジタル地図帳の機能をひとつひとつ順に紹介して使ってもらうのが今回のイベントの目的ではありません。むしろ、たっぷりと時間をとって、先生方に学習者用デジタル地図帳のいろいろな機能をいじりたおしてほしいと思っていました。
 ここで、学習者用デジタル地図帳のIDとPWをお渡しして、自由に使っていただきました。先生方一人ずつがデジタル地図帳を使って教材研究をして、「あ、こういうふうに授業で使えるかもしれない」とアイデアを思いつけばいいと思いますし、「あれ?これどうなってるの?」「こういうのはできないの?」という質問にも帝国書院のスタッフのみなさんが対応してくれるので、どんどん使ってどんどん質問してほしいということを伝えました。

 じっくり学習者用デジタル地図帳を使ってみてもらったあとで、「授業アイデア」「イチオシ機能」「改善アイデア」を色分けしてカードでPadletに書いてもらいました。この日、参加してくれていた30名弱の先生方全員にコメントを発表してもらうことは時間的に難しいので、Padletにコメントを書いてもらって、それを共有して読み合うようにしました。写真を入れてくれた先生が多くてわかりやすくなっていました。

 読んでいておもしろそうだと思った授業アイデアは、以下のようなものがありました。

  • 統計地図と土地利用の様子をレイヤーで重ねる
  • 雨温図を使って、二つの都市を比較した授業。また、重ねるのも面白いと思いました。
  • レイヤーでしょう。統計の比較。重ね。
  • まっぴんを使いながら、自分ならどこの都道府県に田畑を作るかなどに使えそう。
  • 雨温図クイズ大会。はじめに先生からのクイズ(モデルクイズ)をやったあと、子どもたちがクイズを作ってクイズ大会をする。難しいからヒントカードも作る。
  • 雨温図比較。5年の国土の授業で使いやすい。同じ区分の都市の比較ができるのは面白い。
  • 線を引いたところの距離が測定できたら、小学校5年生の算数でも使えそうだなぁと思いました。

アイデアをもとにグループディスカッション

 先生方がPadletに書いてくれた授業アイデアで多く言及されていた「レイヤー機能」「統計データ」「距離測定」の3つのグループに分かれて、Padletを見ながらディスカッションをしてもらいました。テーブルに資料も広げてワイワイ教材研究な感じになってきました。

 帝国書院の皆さんも、会場を飛び回って先生方のいろいろな質問に答えてくれていました。皆さん、デジタル地図帳の機能についての質問だけでなく、社会科の統計についての質問にも答えていました。みなさん、編集と営業の二刀流なのだそうで、教材としての地図帳のコンテンツにもプロとして回答されていました。デジタル教材の機能を紹介するだけでなく、教材としての良し悪しをディスカッションできるのはすごいなと思いました。

 各テーブルでどんなことを話したのかを、代表者の先生に前に出て共有していただきました。
 コンテンツとして力があるデジタル地図帳やデジタル教科書が、先生方の授業を助けてくれると思っています。子どもたちも楽しく学んでくれればいいですよね。先生方が出してくださったたくさんの授業アイデア、本当に楽しそうだとワクワクしました。

帝国書院さんからのコメント

 今回の「192Cafe meet デジタル地図帳」のイベントは、帝国書院による取材が入っていました。

 授業の最後に、帝国書院 ICT開発推進室 部長の二宮康さんにラップアップをお願いしました。帝国書院 撮影チームのカメラ越しに、二宮さんを撮影してみました。先生方が書いたPadletを楽しみに読みます、とおっしゃっていました。こうしてデジタル地図帳を作る人たちと、使う人たちが交わって一緒に語り合う場があるのはいいなと思いました。

クロージング

 最後に、日本女子大学附属豊明小学校の田中栄太郎先生にリフレクションをお願いしました。

 田中先生が拾ってくださいましたが、「たくさん使ってイジリ倒して、みんなでアイデアを出そう」というのがやりたかったことであり、それを参加した先生方と一緒に実現できたような気がしています。

 先生方がデジタル地図帳を時間たっぷりに使い倒していただいて、いろんなアイデアを共有してくださっていて、先生方のお役に立てた気がして、うれしかったです。


(為田)