2018年11月2日に、戸田市立戸田東中学校にて行われた公開研究発表会に参加しました。この公開研究発表会は、平成28・29・30年度 戸田市教育委員会研究委嘱事業で、研究主題は「豊かな人間性と社会性をもった生徒の育成」で、道徳・各教科の授業が公開されました。
そのなかで、1年1組の道徳の授業で、ポプラ社の出版した『答えのない道徳 どう解く?』という書籍を使った「びょうどう、どう解く?」という授業が行われました。
書籍『答えのない道徳 どう解く?』のなかには、議論が分かれそうな内容がたくさんあります。これを教室という場で先生がファシリテーションをして授業をすれば、考え、議論する道徳の授業ができるのではないかと思い、今回授業を担当された真島清貴先生をはじめ、管理職の先生方と教育委員会 指導主事の先生と一緒にミーティングを行い、授業に臨みました。
今回の授業の主題は、「相互理解 内容項目[B (9) 相互理解・寛容]」。ねらいは、「正解がない問いに取り組む姿勢をもつ」「自分の考えを言語化できるようになる」「自分の意見を尊重し、他者の意見も尊重する」というものでした。
真島先生は、最初に「平等」という言葉から思いつく言葉を生徒に挙げてもらい、自由に発言できる雰囲気を作ってから、『答えのない道徳 どう解く?』のページを提示し、「平等、どう解く? 賛成3、反対37 多数決をしたら、ボクの意見は通らなかった。人数が多いほうが、正しいってどうして言えるのだろう?」という問いを投げかけます。
生徒はワークシートに自分の意見を書きます。このとき、真島先生は、「正解があるわけではないので、自分の意見を書く」ということを伝えていました。意見を書いたワークシートは、ロイロノート・スクールで撮影して先生に提出してもらい、大型ディスプレイでみんなで見られるようにしていました。
4人グループになり、ワークシートの内容を共有するときには、クラスメイトの意見を聴いて、おもしろいと思ったものをどんどん追記してもらいました。自分の価値観に縛られず、クラスメイトの意見を傾聴してもらうことをねらっての活動でした。グループワークの途中にも、手元のタブレットでロイロノート・スクールを見ることができるので、他のグループの人が書いた文章を読みながら、考えを練り上げていくことができます。どんなことを書いたらいいのかわからない生徒にも、書き始める手がかりを与えることができるようにも思います。
各グループで最も納得のいく意見を、クラスで発表するために選んでもらい、ロイロノート・スクールでクラスで共有しました。たくさんのグループの意見を聴いて、それぞれを板書していくとそれで時間がどうしてもかかってしまいますが、こうしてロイロノート・スクールで共有することで、説明や議論に時間をかけることができるように思いました。
最後に、真島先生は、『答えのない道徳 どう解く?』のなかにある那須正幹さんの言葉を紹介し、「答えがないことは世の中にはたくさんあること」「さまざまな意見があることを知り、意見を比較して検討できることが重要であること」を伝えて授業を終えました。
授業のねらいとして設定していた「正解がない問いに取り組む姿勢をもつ」「自分の考えを言語化できるようになる」「自分の意見を尊重し、他者の意見も尊重する」については、達成できていたのではないかと思いました。
また、何より正解を求めるのではなく、正解がないなかで「自分はこう思う」と言語化し、それをクラスメイトとディスカッションして、考えを練り上げていくことの楽しさを感じた生徒もいてくれたのではないかと思います。
(為田)