「αシノドス」という電子マガジンがあります。個人的には、2009年から購読しています。最初はメールで読んでいて、今はiPhoneアプリで読んでいます。毎号、さまざまな企画があって、現場感をもつ執筆者となかなか書籍化しないテーマを扱っているところが非常に好きなメディアです。サイトを見てみると、「毎号、新書並みのボリュームと新書以上の速度感でお届け」と書かれているのですが、まさしくそうだと思います。特に、「新書以上の速度感」というところ。ここは電子メディアの強いところですよね。
synodos.jp
αシノドスで「特集:教育とテクノロジー」
そんなαシノドスで、ついに9/1号で「教育とテクノロジー」の特集が組まれました。目次は以下のとおりです。
vol.179 2015.09.01
特集:教育とテクノロジー
・藤本徹氏インタビュー「キャリア教育、数学、新兵募集から野菜嫌い克服まで――『シリアスゲーム』の挑戦」
・豊福晋平「遅れる日本の教育情報化――学習者のための1:1(One to One)は実現するか」
・重田勝介「一から知るMOOC入門」
・芳賀高洋「学校はSNSを利用すべきか」
・片岡剛士「経済ニュースの基礎知識TOP5」
トップ記事であるインタビューが、フェローとして参加しているLudixLabの代表、藤本徹先生です。LudixLabでの「『シリアスゲーム』刊行8周年記念トークセッション」のときにも話してくださった内容を、さらに実例豊富に書いてらっしゃいます。「どう教えるか」を設計する時に、シリアスゲームの考え方は、非常に有効だと思っています。「楽しい→学びたい」とモチベーションを喚起したり、「遊んでいる間にいつの間にか学んでしまっている」というような設計だったり、そうした授業設計の参考に、シリアスゲームはなるのではないかな、と思います。
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参考文献としては、以下の本などがよろしいのではないか、と。一見、教室での授業設計とは違うような印象もありますが、先生方が授業を設計したり学校行事を企画する時に、用いているノウハウに近いこともたくさん書かれているのではないかと思います。
また、以前、GLOCOMのコロキウムのときにお話をされていた豊福先生、Facebookでそのコロキウムの記事をきっかけに少しお話をさせていただいた芳賀先生も寄稿されています。
blog.ict-in-education.jp
みなさん、非常におもしろく、いろいろと考えるきっかけになる論考でした。こうしてきちんとまとまって文章になっているのは、勉強になります。興味ある方は、ぜひお読みいただければと思います。
サブスクリプションモデルの良さ
「αシノドス」は、月2回発行でけっこうな文字量です。テキスト版/EPUB版が月額500円。iOS版が月額800円。毎月の支払ですが、これくらいの金額であれば、情報を得るために支払い続けてもいいかな、と思える金額だと思います。こうした、(少額だけども)支払い続ける購読モデル(サブスクリプションモデル)は、音楽聴き放題のサービスが、Apple Music、AWA、LINE MUSICなど、さまざま出てきています。
このサブスクリプションモデルは、今後、教育業界でどんどん増えてくるのではないかな、と思います。リクルートがスタートさせた「受験サプリ」「勉強サプリ」も月額980円です。受験サプリ、勉強サプリはメインは授業動画ですが、説明動画や解説動画は、先生が説明するパターンだけでなく、CGでモデル図のアニメになっているデジタルコンテンツを出せばいいと思います。デジタル教科書にそうしたデジタルコンテンツはすでに収録されていますので、そうしたデジタルコンテンツをデジタル教科書全体(高額なので予算申請が必要)を購入せずとも、月500円支払えばデジタルコンテンツを使い放題とか、月10コンテンツまでなら月100円、無制限なら300円とか、そうした金額設定でサブスクリプションモデルでできないですかね。それくらいの金額設定ならば先生がどんどん教材を試すことができるようになると思います。
月800円だとすると、週に200円。ちょっとコンビニで我慢すればいい金額だと思うのです。それくらいの金額で、どんどんデジタルコンテンツに触れる機会を増やしていければ、もっと利用する人の裾野が広がるのではと思っています。
(為田)