10月16日(金)に、「すごい地理教育トーク」というイベントに参加してきました。前回の続きです。次に、「日本国内の最新事例について すごい地理教育とは何か?」というテーマで、青山学院大学 古橋大地 教授が講演されました。
古橋先生は、「普段、地図を作っています」と話を始めました。OpenStreetMap、CrisisMappersJapanなどで活動されているとのことです。
また、「地図のない地域での海外活動」の仕方を教えているそうです。たしかに、知らない街に行った時に、地図を頭の中で描けるか、というのは必要なスキルだな、と思いました。
それに関連するのですが、今回のこの「すごい地理教育トーク」の全体を通じてですが、地図教育と防災を結びつけて話をされることが多かったな、というのは新鮮な驚きでした。考えたこともありませんでした。
講演のポイントを以下にまとめます。
- これから日本国内での地理教育(高校)は大きく変わろうとしている
- 次期学習指導要領の骨格案(2022年度から高校で導入予定←「歴史総合」高校必修科目に。)
- 「地理総合」が必修となるかも?
- 地図上で災害情報などを確認できるGISの活用や地図作製…
- これからは、「GISを教える」べきだろう。
- 必ずしも、「GISで教える」というのでなくてもいいと、古橋先生は思っている。
- 目指しているゴール
- 「地理総合」って面白い授業だよね!という反応が学生からくればゴール
- 「地理総合」で学んだ◯◯◯が役立ちました、という反応が学生からくればゴール
- これからの方向
- 新人の地理教員の育成は間に合うの?
- 歴史の先生とのコラボ(時間x空間のコラボは魅力的)
- 時間x空間xストーリーはもっと魅力的
www.slideshare.net
事例紹介
この後、地理教育×ICTの最新事例を紹介していただきました。「地理」「デジタル地図」という切り口で、最新事例を追いかけたことがなかったので、非常に勉強になりました。初めて見るコンテンツが多かったです。
ヒロシマアーカイブ
「ヒロシマアーカイブ」は、広島原爆の実相を世界につたえる多元的デジタルアーカイブズ です。アクセスしてみると、原爆が落とされた日の広島の地図が表示され、顔写真や風景写真などが表示されます。クリックすると写真が拡大表示されたり、ビデオが再生されたり、手記が表示されたりします。
こうしてデータが地図にのることで、原爆の被害というのを文字情報などで知っていたのにプラスして、地理的な近さであるとか、街の様子などに一次元プラスされるように思えました。
Map the Fallen
Map the Fallenは、Google Earth上に黄色い矢印がたくさん表示されているのが特徴的です。矢印は、イラク戦争、アフガニスタン戦争で亡くなったアメリカ兵の故郷と戦死した場所を結んでいるのだそうです。こうしたデータが地図にのることで、イラク・アフガニスタンとアメリカの間でストーリーと時空間が繋がっていきます。
ギガピクセル パノラマ
続いて、高精細の写真をパノラマで見ることができる、「GigaPan」です。写真はニューヨークです。遠くに小さく、自由の女神も見えます。
検索をすることもできますので、見たい街の名前で検索をしてみるといいな、と思いました。旅行の前に見てから行くことで、新しい視点を得られるのではないかと思いました。
イングレスx地理総合
GISを実践的に使う例として、イングレスを使った防災訓練の話も紹介してもらいました。青学では、イングレスはゲームではなく、コミュニケーションツールとして使っているそうです。
イングレスを使っての災害訓練を行い、ニュースにもなったのだそうです。
まとめ
古橋先生は、特定のツールに依存したくない、と言います。そして、「地理総合」で使える教材が出るといい、とも。
この日に紹介してもらったサイトも、ほとんど知らないものでした。現場の先生方が、これらのサイトを知って、何の授業に使うか、アイデアをどんどん出していってくれるといいなと思います。
地理だけでなく、総合学習の時間で使ったり、国語や社会科の授業と組み合わせたり、という事例がたくさん出てくればいいと思います。
たくさんの事例を知りたいな、と思いました。
次回へ続きます。最後はパネルディスカッション。現場の先生方も含めて、活用事例をお聞きします。
blog.ict-in-education.jp
(為田)