教育ICTリサーチ ブログ

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佐賀県立致遠館高等学校 授業レポート No.2(2020年2月27日)

 2020年2月27日に、佐賀県立致遠館高等学校を訪問し、中島義浩 先生が担当されている2年3組の古典の授業を見学させていただきました。佐賀県はすべての県立学校で電子黒板と無線LANの整備を終え、2014年度からすべての県立高校(全日制、定時制)で一人1台の学習用パソコンを導入しています。

 中島先生は授業の最初に学習者用パソコンを使ってClassiにログインして、 Webテストを実施していました。致遠館高校では、一人1台の学習用パソコンで、1人ずつClassiのIDをもっているので、Webテストなどを実施することができます。
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 Webテストは、Classiのコンテンツを利用することもできますし、先生が自分でオリジナルの問題を作ることも可能です。これまではテストを作成して、印刷して、配布しなければなりませんでしたが、選択式の問題であれば、Web上で行うことでこうした業務を効率化することができます。
 自動採点された後は、生徒ごとに点数一覧を表示することもできますし、各問題の正答率の確認もできます。ある問題の3つの選択肢について、それぞれ回答した人の率がどれくらいだったかを見せながら、「正解はウの丁寧語ですが、正解したのは44.4%。イの謙譲語を選んでしまっている人が22.2%もいますよ」と誤答率も合わせて説明することも可能です。こうした、手作業で集計すると大変な部分に関しては、デジタルツールであるClassiを活用することで簡単に行うことができます。
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 最後に中島先生は、「“敬意の方向”のWebテストを送っておきますので、時間を見つけてやっておいてください」と伝え、Webテストの時間を終えました。教室後ろの黒板には、「古典ウェブテストまだの人~」と書かれていて、Classiが日常のなかで使われていることを感じました。
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 Webテスト後の授業では、電子黒板にPowerPointで作成した教材を提示しながら説明をしていきます。今回の授業では大鏡菅原道真の左遷」のところでした。白居易漢詩との共通点と相違点について考えるという活動を行いました。
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 ベン図が書かれたプリントを配布し、まずは個人で菅原道真白居易の特徴を書いていきます。
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 その後で、3人~4人のグループをつくり、みんなで意見を交流し、書記がそれを1枚にまとめました。
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 最後に、グループでまとめたものを学習用PCで撮影し、Skyを通じて提出して、発表しました。
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 今回の授業では、一人ずつプリントに自分で記入して、それをグループで共有するという形でしたが、グループでの共有を飛ばして、ClassiNOTEで全員に提出してもらい、クラス全体でコメントや「いいね」をつける機能を使って交流をしてもいいかもしれないと思いました。
 また、こうすることで、「どういうことを書いたらいいかわからない」という生徒も、他の人の書いたものを見て、書き出しのきっかけを掴めるかもしれません。
 それともう一つの可能性としては、授業時間に間に合わない生徒も、「次回の古典の授業までに提出しておいて」という授業のやり方も可能になります。デジタルは、こうした時間の制約を取り去ることができるのもいいところだと思います。

 こうしたことは、ICTをどう使うかということと、先生が授業をどのように進めたいか、ということの両面から授業設計の中に組み込まれていきます。先生方が、生徒たちの様子を見とって、致遠館高校に合った形での活用というのができていくだろうと思いました。

 No.3に続きます。
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(為田)