教育ICTリサーチ ブログ

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新渡戸文化中学校 授業レポート No.1(2020年9月4日)

 2020年9月4日に、新渡戸文化中学校を訪問し、英語の山本崇雄 先生と数学の芥隆司 先生が担当する数学×英語のクロスカリキュラムの授業を参観させていただきました。授業は大きなオーディオビジュアルルームで行われ、3時間目から5時間目までのクロスカリキュラムの授業を、中学1年生から中学3年生まで3学年一緒に受けていました。
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 新渡戸文化中学校では、生徒たちは一人1台のiPadを持ち、自律的に学んでいくカリキュラムになっています。今年度からAI型タブレット教材Qubena(キュビナ)の数学(1学期から)と英語(2学期から)を利用して、一人ひとりに合わせた内容で自学に使っています。
 山本先生は、授業の最初に「iPadにQubenaが入ったことで、自分でやりたいことをやってみる時間ができた。そこを活用してほしいと思います」と生徒に説明していました。
 山本先生は、Qubenaの英語の画面を見せながら、「スキマ時間に好きなものをどんどんやってください。英語を話すのが好きならスピーキングをやってください。そして、まとまった時間が取れるときには、ぜひ“総合的に学ぶ”に取り組むのがいいと思います」と、具体的にどんなふうに学習を進めればいいのかを伝えていました。
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 生徒たちは思い思いの場所で、自分で選んだコンテンツで学んでいきます。AIによって一人ひとりにあった問題が自動出題・自動採点されるQubenaを使って、どんどん自分の学びを作っていきます。
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 時間をとってQubenaに取り組んだところで、芥先生が「夏、Mathってましたか?」とプレゼンテーションを始めます。「日常生活のさまざまなところにも数学はあります」と言う芥先生は、例えばサッカーをみんなでしていたら、「サッカーは11人でやる」「11は素数」…と、どんどん日常の中にある数や数学へと話を進めていきます。
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 芥先生は、Mentimeterを使って、英語×数学クイズを行いました。スクリーンにQRコードを映し出すと、生徒たちはiPadのカメラで読み込んで、Mentimeterにアクセスし、コードを入力します。
 芥先生は「クイズには、1人で参加しても、隣の人と一緒に参加してもOKですよ」と言います。どう学ぶかについても、生徒たちに選んでもらえるようにしているのだとわかります。
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 英語×数学クイズで出題された問題は、「アルファベットの個数を因数分解してください」「4と9に共通していることは何か」「正三角形を英語で言うと?」のような問題で、教科を越えた気づきや思考が生まれるように作られていました。
 Mentimeterを使ってアンケートに答えていくと、回答の分布がグラフで簡単に見られますし、問題を終えるごとに正解数や回答時間に応じて得点が集計され、順位表が表示されます。これが非常に盛り上がるようになっていました。
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 選択問題が終わったあとは、自由記述でのアンケートを同じMentimeterを使って行っていました。芥先生が生徒たちに出した問いは、「英語や数学で学ぶことの性質を、「英語は~~、数学は~~」のように挙げてください」というものでした。生徒たちは、自分の考えをiPadを通じてどんどん入力していきます。
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 みんなの入力した回答が、どんどん前のスクリーンに表示されていきます。一人ひとりが考えたことを瞬時に共有し、それを見ながら先生が次の授業展開に活かすことができるのは、ICTを活用しているからこそです。ぐいぐい生徒たちが引き込まれていきます。
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 No.2へ続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)