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新渡戸文化中学校 授業レポート No.2(2020年10月30日)

 2020年10月30日に、新渡戸文化中学校を訪問し、数学の芥隆司 先生が担当する「音楽×数学」のクロスカリキュラムの授業を参観させていただきました。芥先生は、「数学の語源であるMathemata(マテーマタ)で学ぶべきことは、代数学幾何学天文学・音楽だった」と説明し、今日は音楽と数学をかけ合わせてみよう、と生徒たちに伝えます。
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 音楽と数学は、いまは違う教科として教えられていますが、芥先生は「音楽は感覚の数学であり、数学は理性の音楽である」という言葉を紹介し、今回の授業ではGaragebandを使うことを伝えます。
 「音楽と数学」というテーマでのTEDトークを見ると、音楽と数学の関わりを知ることができます。音は波形であり、和音は波長の重なるところであり、これがアートになっていきます。

www.tedxtokyo.com

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 今回の授業のテーマは「○○のための音楽を作ろう!(数学の要素を含んでw)」で、4人グループで取り組んでいきます。
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 Garagebandでは、多様なリズムパターンや楽器を使えるので、テーマを決め、リズムを決めると、いろいろな音楽を作れます。芥先生は、「5分間くらいリズムを刻んでみましょう」と言い、生徒たちはどんどん自由にリズムを作っていきます。
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 音楽の知識がなくても、リズムを作り、そこにいろいろな楽器をのせていくことで、自分だけの音楽を作ることができます。楽器を演奏する技術がなくても、最初からいろいろな音を楽しむことができます。
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 音楽とは関係なく、見た目を重視してGaragebandを操作して、それを演奏にしたらどんな音楽になるか、と試している生徒もいました。例えば、「吉田」って書いたらどうなるかを試している生徒もいました。ネットでは、世界地図をドットにして音楽にしている例などもあるそうです。これらは、デジタルならではの創作と言えますが、そこから新しく音楽への興味や数学への興味へとつながっていくかもしれません。
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 そうしていろいろな方法で作られた音楽を聴き合う姿が教室でたくさん見られました。ヘッドフォンでクラスメイトとお互いの作ったリズムを聴き合っています。お互いに「これ、かっこいい!」と言い合う声が教室のあちこちから聞こえます。芥先生をつかまえて、「先生、これよくないですか?」と聴いてもらう生徒もたくさんいました。
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 こうして、一人ひとりが自分の思うとおり、自由に音楽を創造し、それをみんなで鑑賞し合う活動ができるのも、一人1台の良さだと思います。

(為田)