教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

書籍ご紹介:『教師のいらない学級のつくり方』

 京都教育大学附属桃山小学校の若松俊介先生から、著書『教師のいらない学級のつくり方』をお送りいただきました。ありがとうございます。
 僕は先生ではないので、学級担任をしたことがありません。でも、「学級」ではなくとも、授業のなかで作る「文化」づくりにも共通する考えのところが多いのではないかな、と読みながら思いました。興味深かった部分をメモとして共有しようと思います。

 若松先生は、子どもの自力成長を支える、以下の3つのステップを示します。

  1. あらゆることを「自分事」にする
  2. 「うまくいかない」を乗り越える
  3. 子どもたち自身で成長する

 とくに、ステップ2について、子どもたちが「うまくいかない」を乗り越えるためには、子どもたちのふり返りがレベルアップするように、「1.教師から問いかける」「2.お互いのふり返りを読み合う」という方法が書かれていました。この部分は、授業支援ツールを使えば、適切な問いかけをして、お互いのふり返りを読み合うことが実現できそうです。
 特に、お互いのふり返りを読み合うことの良さについて、若松先生はこう書いていました。

大人からの問いかけよりも、同じ環境で学び合っている子どもたちの視点が重なり合うことで書けることが豊かになっていくことの方が、より子どもたちにとって自然な学びとなります。ふり返りは「こう書けば正解」というものではないからこそ、自分自身でより良くしていけるような場づくりを大切にします。(p.121)

 また、授業を自分でやっていて、僕はときどき「ああ、グダグダになっちゃったな…どうしようかな…」と思ってしまうことがあるのですが、それについても「子どもたちの立場で考えたらそうですか?」と若松先生は書いています。

子どもたちの試行錯誤の途中の姿は、大人からはグダグダした感じに見えることも多くあるでしょう。この「グダグダした感じに見える」が、どこから生まれるのかをしっかりと考えなければいけません。これはもしかすると教師の理想像やこれまでの学級でうまくいっていた仕組みとの比較の中での姿かもしれません。こんな風にできるといいなと思うことは大切です。こうして願うからこそ子どもたちもそこに向かっていこうとします。ただ、そちらの方にばかり目が向き、子どもたちが今どのように成長していこうとしているかを見きわめられなくなるともったいないです。
大人からはグダグダした感じに見えることも、子どもたちはグダグダと感じていない可能性もあります。子どもたちにとっては現時点の精一杯かもしれません。そこにいくら教師が理想像をぶつけても、互いの関係がちぐはぐするだけです。(p.127)

 授業支援ツールを使っていて、グループ化してしまっていて、決まった子たちの間でやりとりがされていて、クラスで勉強しているからこそ生まれる交流までは生み出せていないかもしれない、と感じることも多いのですが、それについても「グループ化が起こるのは自然」と書かれていました。

「何とかグループ化を無くしていかないと」としてしまうと、子どもたちにもその思いが伝わります。そうなればなるほどよりグループ化は強固されたものになり、関係は閉ざされていくでしょう。「グループ化が起こるのは自然である」と捉えた上で、それぞれのグループが重なり合っていく環境を作っていくことを意識していきます。
(略)
「全員が関わり合わなければならない」「このような人間関係が理想だ」という枠で子どもたちを捉えて指導するのではなく、今の状態から、少しでもゆるやかに関わり合い支え合える関係性を築くためにできることを考えます。それぞれのグループ同士がつながり合えるようになれば、また学級でできることが増えていきます。(p.141)

 GIGAスクール構想で整備された一人1台の情報端末を使って、授業支援ツールを使うことで、若松先生が書いている、「子どもたち同士でのコーチング」もできるようにしたいな、と感じました。

私は子どもたちの成長を支えるために、コーチングすることを心がけています。こうすることで、相手の解が少しずつ更新することを大事にしています。ただ、教師と子どもの一対一のコーチングだけでは成長の幅は限られてしまいます。そこで、子どもたち同士でも互いにコーチングし合えるようにすることで、成長の幅をぐっと広げていきます。(p.163)

 整備された端末を使って、やれることはまだまだたくさんあるな、と感じました。もっと、子どもたちを見なければ。子どもたち同士で学べる授業を作れるように、ICTをもっと研究しよう、と気合いが入りました。

◆ ◆ ◆

 昨年の『教師のいらない授業のつくり方』と合わせて読むといいと思います。
blog.ict-in-education.jp

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(為田)