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戸田市立新曽小学校 授業レポート No.1(2021年7月16日)

 2021年7月16日に戸田市立新曽小学校を訪問し、小林湧 先生が担当する6年2組のルールメイキングの授業を参観させていただきました(6月23日に参観させていただいた授業の続きでした)。

 夏休みも間近な今回の授業では、最初に夏休みに持ち帰るChromebookの利用についてのルールを考えていました。最初に小林先生から、「学校」「地域」「家庭」でそれぞれ決められているルールには反しない範囲で、一人ひとり自分なりのルールを作りましょう、という説明がありました。
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 小林先生が黒板を使ってした説明を、子どもたちはそれぞれ自分にあったツールで記録していました。Google Keepでメモをしている子もいれば、Googleスライドに書き込む子もいます。入力方法も、キーボードでタイピング入力する子もいれば、ペンを使って書いている子もいます。もちろん、ノートなどに鉛筆で書いた方がまとめやすい、という子もいると思います。
 こうして自分でいろいろな入力方法を試したり、クラスメイトの入力方法を見て真似してみたりしながら、自分にあった情報整理のやり方を見つけていけるといいと思います。
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 その後、小林先生は「家庭での約束」を考えるワークシートを配りました。6年2組の子たちが自分たちで作ったゴール「人と協力してさらによいものを目指し、言われなくても自分から積極的に行動できる6年生になる」ために、自分でできる「家庭での約束」を書いていきます。
 先生から「夏休みの過ごし方」のプリントが配られて、それを守るように行動する、という夏休みよりも、自律的で自分で何をがんばるかを決められるのが特徴だと思います。
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 特に、「今年はじめて夏休みに家庭へ持ち帰るChromebookをどう使うかについて決めたい」と小林先生は言います。例えば、「寝る時間」「使う時間」「外に持っていかない」など、子どもたちが自分たちなりの観点で考え、周りと相談しながらワークシートに書いていきます。
 こうしたルールを自分で作るのは、最初は大変なので、小林先生はよく言われることの理由を考えてみてもいい、とヒントを示します。例えば、「なんでずっとゲームしちゃダメなんだろう?」というふうに理由を考えれば、そうならないような約束を書くことができます。実際に子どもたちから意見を聴いていくと、「勉強が心配」「目が悪くなる」「夜ふかししてしまう」「イヤホンで耳が悪くなる」と理由が出てきました。
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 そうしてクラス全体で例を考えた後で、一人ひとりが自分たちなりの約束を考えていきます。見せてもらったワークシートには、「ねる30分前にクロムブックをつかわない。宿題がおわったらクロムを使って良い」「1時間ごとに5分きゅうけい」「タイピングやゲームをやるまえに全部ではないが30分は宿題をやる」「べんきょうじかんを15分のばす」など、さまざまなルールが書かれていました。
 小林先生は、「思いつかない人は、空白で持ち帰って相談してもいいよ」と言っていました。相談したりサインをもらったりする機会に、子どもたちは「学校でChromebookをどう使っているのか」「Chromebookでどういうことができるのか」を保護者に説明する必要があるので、保護者もChromebookが学校でどのように使われているのか知る機会になると思います。
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 子どもたちは自分たちで書いたこのワークシートを家に持ち帰って、保護者に説明をし、同意のサインももらってきます。後日、小林先生からは、「子どもの提案がそのまま通る家もあれば、相談して修正したり違う要素をいれてもらった家庭もありました」とお話を伺いました。保護者の方からは、「しっかり守ってください。大事に扱いましょう。せっかく与えてもらった機会なので、たくさんパソコンになれて下さい」「自分の行動、言動に自覚と責任を持って下さい」などのコメントが書かれていたそうです。

 今年の夏休みは6年2組では「ドリルをここからここまでやって」という形では宿題を出していないそうです。小林先生は、「夏休み明けに、漢字テスト・算数まとめテストで確認をするから、これができるようにしておいてね。ドリルパーク、ジャストスマイルやりました、というのでもいいですよ」と言っていましたので、ルールを守ったうえでChromebookを使っていろいろな学びをする様子が、夏休みに家庭で見られるのではないかと思いました。

 No.2に続きます。
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(為田)