教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

西武学園文理小学校 授業レポート No.1(2022年6月30日)

 2022年6月30日に西武学園文理小学校を訪問し、山谷謙人 先生とALTのLalaine先生が担当する4年2組の英語の授業を参観させていただきました。この日の授業では、学校で使う英語のなかから、「History」「Geography」「Literature」など、教科の名前のボキャブラリーを学んでいました。

 先生が見せてくれる大きなカードを見ながらボキャブラリーを練習した後、「What's your favorite subject?」「I like ~.」という対話を、自分の好きな教科を入れて言っていきます。みんなが同じ「I like ~.」の表現を使うだけでなく、「My favorite subject is ~.」という表現をする子もいます。
 最初はクラス全体で先生と対話の練習をして、その後は近くの人と1対1で練習していきます。みんなそれぞれ自分の好きな教科を言っていくので、いろいろな人と対話をするのは楽しそうです。
 最後に、今日学んだボキャブラリーや対話表現が入った歌(チャント)を歌います。歌詞のなかに自然にボキャブラリーや対話表現が入っているので、何度か口ずさむことでインプットができるようになっています。

 ここで、一人1台のiPadを開いて、Quizizz を起動します。ホワイトボードに書いたコードをみんなが入力することで、みんなで同じクラスに入ることができます。
 山谷先生が準備しておいた、この日学んだボキャブラリーと対話表現が入った問題をみんなで解いていきます。1問ずつ自動採点がされ、回答にかかった時間も集計されて、その都度クラス内のランキングが変わっていきます。
 クラスで正解・不正解が何人いたかも画面で見られるので、山谷先生が1問ずつ解説していきます。

 ランキングがわかる「LEADERBOARD」が画面に表示されるたびに子どもたちは大盛り上がりです。また、すべての問題が終了した後で、一人ひとりの正答率なども表示されます。正答率100%は誰だったのかなどを発表することもできます。

 その後、ロイロノート・スクールを使って、作文をします。「What's your favorite season?」の質問への答えをカードに書いていきます。紙に鉛筆で英語の文章を書くのと、キーボードを使ってデジタルで英語の文章を書くのと、どのような差異があるのかについては、長期的に見ていく必要があるとは思います。ただ、何度も書き直したりするのにデジタルの方が子どもたちの抵抗が少ないように思いました(これは日本語の作文でも同じだと思います)。
 子どもたちが書いている英語の文章は、「I like winter.」と答えておしまいではなく、どうしてその季節が好きなのか理由を書いていったり、逆に好きではない季節を「I don't like ~.」というふうに長い文章になっていました。
 こうしてたくさん書いた文章をロイロノート・スクールの提出箱に提出して、先生からすぐにフィードバックを得られます。また、クラスメイトが長い文章を書いているのを見て、「自分ももっと文章を長く書いてみよう」と思うきっかけにもなるのではないかと思います。

 iPadの画面をスプリットビューにして、半分をロイロノート・スクール、半分で検索画面にして、単語のスペリングを確認しながら文章を書いている子もいました。こうして自分でどんどん調べてボキャブラリーの数を増やしていくことができればいいと思います。

 文字入力するだけでなく、罫線を自分で引いて読みやすくしたり、ペンツールで絵を描いて英文を楽しく読めるように工夫をしている子もいました。

 一人の子が、「(野球の)日本シリーズがあるから秋が好き」と書いていたので、「What's your favorite baseball team?」と訊いたら、「My favorite baseball team is Saitama Seibu Lions!」と答えてくれて、「What's your favorite baseball team?」と質問を返されました。「I live in Yokohama. So, I like Yokohama Baystars.」と答えると、すごくうれしそうにしてくれて、さらにいろいろとプロ野球の話ができました。
 こうして、授業のなかで学んだ英語を応用して、自分が話したいことを英語で話し合えるような雰囲気ができているのは、iPadだけでなく間違いを恐れずチャレンジしてみる空気を作っている授業設計の成果だと思いました。

 No.2に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)