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神奈川大学附属中・高等学校 授業レポート No.1(2020年3月18日)

 2020年3月18日に、神奈川大学附属中・高等学校を訪問し、佐藤克行 先生(物理担当)と福家匠人 先生(英語担当)がコラボレーションする特別授業を見学させていただきました。この授業のテーマは「宇宙エレベーター」で、遠隔授業で自宅から高校1年生(32名)が参加をしていました。2時間で設計されているこの授業では、1時間目に物理のトピックとして「宇宙エレベーター」を日本語と英語で学び、2時間目に「宇宙エレベーターツアー」を企画し英語でプレゼンテーションをしていきます。
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 1時間目は、物理のトピックを佐藤先生が導入として説明しました。YouTubeライブ配信で佐藤先生と福家先生が授業を開始し、生徒たちはそれを見ながらロイロノート・スクールで資料を見たり、ワークシートに書き込みを行います。
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 「導入部分を佐藤先生が英語で説明するので、その内容を聴きながらワークシートにメモをとってください」と福家先生は言います。
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 佐藤先生の英語でのテーマについての情報提供の後で、福家先生が日本語で授業を進行します。英語で説明した箇所を、タブレットPCで書き込みをしながら説明していきます。
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 今回のゴールである“英語でのプレゼンテーション”に必要な物理の知識についての説明も、画面に書き込みをしていく形で佐藤先生からされていました。宇宙エレベーターの図のなかに、「mgとつり合う力を考えてロイロに書いてください」というふうに発問して、ロイロで提出してもらいます。
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 授業の中では、遠心力を体感する実験も行いました。ストロー、タコ糸、50円玉、セロテープを使った実験を一緒にやってもらいました。
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 実際に生徒たちが実験をやっているのか、それがうまくいっているのか、というリアクションが見えないのですが、福家先生がカメラの前で実際にやってくれていて、「自分でやった感覚だと…」と情報を補足してくれていました。
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 授業を配信している間、YouTubeのチャットやロイロノートで質問をすることができます。生徒から「スマホで見ていると小さく、どこを持って回すのかがわからない」というコメントがきたので、全画面でビデオを表示するように変更するという場面もありました。生徒たちのリアクションが見えないので、そこの工夫はこれからもっと洗練されていくだろうと思います。

 英語でのプレゼンテーションのなかで使う語彙などについても知る必要があるので、スコットランドの物理の教科書で「どういう表現がされているのかを見てみましょう」と言います。教科書の中の文章を福家先生が解説しながらみんなで読んでいきました。「friction(摩擦)がinsufficient(不十分)」などの表現が出てきていましたが、授業で学ぶ概念と英語を組み合わせていくのはおもしろいと思いました。
 発展的に教科書だけでなく、国際的な最新ニュースなども使えば、英語の教科書だけでは触れられないボキャブラリーが増えそうです。
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 こうして「宇宙エレベーター」に関連する知識を学び、演習問題などに取り組んでいきました。宇宙エレベーターでできることがわかったら、2時間目には英語でプレゼンテーションを作っていきます。
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 No.2に続きます。
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(為田)