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富士見市立針ケ谷小学校 学校研究発表会 レポート No.1(2023年11月29日)

 2023年11月29日に富士見市立針ケ谷小学校で開催された学校研究発表会に講師として参加しました。研究主題は、“個別最適な学びと協働的な学びによる「未来を切り拓く力」の育成 ~ICTを活用し、全ての子どもが「学びをデザインする」授業の工夫改善~”となっています。

 全体会での挨拶で本木千穂 校長先生は、「子どもが主語の学び」を目指し、その過程で「子どもが学ぶ、子どもが学び合う。教職員が学ぶ、教職員が学び合う」、そうした姿が見られる学校になってきた、とおっしゃっていました。
 僕も2022年度2023年度に講師として校内研修に参加させていただくなかで、針ケ谷小学校の「教職員が学ぶ、教職員が学び合う」場面を多く見せていただいてきたと思っています。
 この日、富士見市内外の多くの学校から先生方が研究発表会に参加されました。公開授業や分科会などで、「子どもが学ぶ、子どもが学び合う」様子を見てもらえたのではないかと思います。

 この日は、2年1組 算数・3年1組 総合的な学習の時間・6年2組 国語の授業が公開される予定でしたが、6年2組が残念ながら学級閉鎖となってしまい、録画された授業の様子の公開となりました。教室で見ることができた2年1組と3年1組の授業の様子をレポートします。

2年生 算数

 門田佳乃子 先生が担当する2年1組の算数の授業を参観させていただきました。今回の授業では、「九九の問題づくり」に取り組んでいました。

 前時までに子どもたちは「九九見つけ」として、生活場面の中からかけ算の問題にできるものを見つけて一人1台のiPadで写真を撮影していました。子どもたちの撮影した写真には、教室にある棚、排水口の蓋、リモコンのボタンなど、自分たちの身の周りにあるさまざまなものが写っていました。
 撮影した写真をオクリンクに貼ってグループで写真を見ながら、どんな問題が想像できるかグループで話し合っていきます。

 写真の横に、かけ算の問題文を書いていきます。このとき、オクリンクで3色のカードが用意されていて、どのように学習を進めていきたいかを子どもたちが意思表示できるようになっていました。青いカードが「自分で」、黄色のカードが「友達と」、ピンクのカードが「先生と」、それぞれどうやって学んでいきたいかを表していて、子どもたちが自分で決めて意思表示ができるようになっていて、それを門田先生もすぐに見ることができ、子どもたちの思いに応えたサポートができるようになっていました。

 一人ひとりが問題文を作成したら、グループで問題を読み合って、式を作れるか、答えを計算できるかを検討し合います。最後に、作った問題をオクリンクで提出したら、提出BOXをみんなで見られるようにして、クラス内でみんなで問題を解き合っていました。
 教科書やプリントに載っている問題ではなく、クラスメイトが作った問題なので、問題についている写真のなかには、学校で見たことがある物もたくさんあり、問題を解く楽しさがあったように思います。生活場面の中からテーマを見つけて作った問題を、クラスメイトと一緒に解くからこそ、子どもたちは楽しんでかけ算に取り組んでいたように思いました。

3年生 総合的な学習の時間

 椿政悦 先生が担当する3年1組の総合的な学習の時間の授業を参観させていただきました。今回の授業では、「針ケ谷マスターになろう」という活動に取り組んでいました。針ケ谷のことをよく知っている針ケ谷マスターになるために、針ケ谷の地域について情報を集めて、地域の良さについて考えます。

 この日の授業では、これまでに集めた針ケ谷についての情報を、思考ツールを使って整理していました。使っていた思考ツールはKWLシートで、情報を「K(知っていること)」「W(知りたいこと)」「L(学んだこと)」の3つの欄に整理してまとめることができます。
 教室で子どもたちの様子を見ると、一人1台のWindows端末で開いたオクリンクでKWLシートに調べたことをまとめている子もいますし、紙に大きく書かれたKWLシートに付箋で調べたことを書いて貼っている子もいました。
 子どもたちは、デジタルでもアナログでもどちらでも、自分のやりたい方法で情報を整理することができました。

 これまでに調べてわかったことは、「K(知っていること)」の欄にまとめられているので、そこから発展して自分で知りたいなと思ったことを、「W(知りたいこと)」の欄に書き加えていくことを最初の15分でしました。
 KWLシートは、たくさんのカード(付箋)が並び、そこからさらに発展させてどんどんカード(付箋)を増やしていくことが促進されるように使い、その後でカード(付箋)を移動させたりしながら整理をしていくように使うといいと思います。針ケ谷マスターになるために、自分で問いをどんどん作っていくための助けになるように、KWLシートが使われているように思いました。

 椿先生は教室を回りながら、子どもたちが書き進めているKWLシートを見ながら、「針ケ谷マスター」に近づくための針ケ谷の良さが見い出せるように声掛けをしていました。一人ひとりがカード(付箋)に書いている内容を読んで、ヒントを与えたり、先生自身も知りたいと思うことをコメントとして伝えたりするなかで、子どもたちのカード(付箋)がどんどん増えていくと思います。

 授業の最後に、KWLシートを提出してもらいます。クラス全員がみんなのKWLシートを見られるように、最終的にはオクリンクの提出BOXにKWLシートをまとめます。
 オクリンクでKWLシートをまとめていた子は、そのままオクリンクで提出します。紙でまとめた人は、知りたいことを大きく書いてもらって撮影したものをオクリンクで提出してもらっていました。
 オクリンクの提出BOXを公開して、他の子が書いたKWLシートも見られるようにすることで、子どもたちはたくさんのKWLシートを読む機会をもてます。思考ツールであるKWLシートの書き方の勉強にもなるし、他の子が書いたカード(付箋)が、自分にとっても参考になることも多いと思います。

 No.2に続きます。
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(為田)