教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

考えてみた:研修テーマに具体的なイメージをもたせたい

 最近、教育委員会や学校から研修の依頼を受けるときに、「子どもが主語の学び」や「学びのコントローラーを子どもに」という言葉が入ったタイトルをリクエストされることが増えてきました。公開授業のテーマのなかにこれらの言葉が入っていることも多く、学校で取り組んでみたいと考えている研修主任や研究主任の先生方も多いのだと思います。

 ところが、研修講師として「子どもが主語の学び」や「学びのコントローラーを子どもに」ということを話そうと思うと、なんだか抽象的でふわふわした言葉を伝えることになってしまうように思っています。それなりにいろいろな説明をしようと思えばできますが、「子どもが主語の学び」とは何か?「学びのコントローラーを子どもに」とはどういうことか?と解説をしても、あまり意味がないかなと思っています。

 僕に講師を依頼してくる教育委員会や学校の先生は、どちらかというとアカデミックな言葉の解説を聴きたいというよりは、「子どもが主語の学び」や「学びのコントローラーを子どもに」という言葉を実践した授業の事例を知りたい、というニーズをもっているのではないかと思います。
 そこで、「実際に授業がどう変わっていくのか」ということをたくさんの授業事例を紹介して伝えたうえで先生方と一緒に考えて次の授業へのステップになるような研修にしようと思っています。

 僕は、先生方と一緒に「子どもが主語の学び」や「学びのコントローラーを子どもに」が実現されている学校の場面を、具体的に考える活動を研修の中に入れるようにしています。
 例えば、「具体的に、子どもたちのどういう場面が見られたら、“子どもが主語の学びになっているな”と感じられますか?」と先生方に質問して、Padletやロイロノート・スクールなどに回答をしてもらいます。すると、「もっとやりたい!という子どもたちの声を聞いたとき」「時間を忘れて子どもたちが学び続けているとき」「自主学習でさらに調べてまとめていたとき」など、学校での子どもたちの様子と「子どもが主語の学び」とを結ぶイメージがたくさん出てきます。
 こうして書き込まれたいろいろな場面を、「これは正しい/間違っている」とチェックしたいわけではありません。そんなに多様な場面が、同じ学校に勤める先生方のなかでイメージされているのだ、ということがわかることが大事なのだと思います。そのために、Padletやロイロノート・スクールで自分の言葉で書いてもらうことが重要だと思います。

 こうして共有された、先生方がイメージされた場面のなかで優先順位をつけて、その場面の実現を目指すこともひとつの方法だと思います。また、学年ごとにたくさん出た場面のなかから「うちの学年では、こういう場面を作っていけるようにしよう」と方針を出すのでもいいと思います。

 みんなで出し合った場面のイメージが、「子どもが主語の学び」や「学びのコントローラーを子どもに」という言葉を下支えして、学校をアップデートしていくときのガイドになってくれるのではないかと思っています。

(為田)