弊社フューチャーインスティテュートは淑徳小学校放課後クラブ「淑徳アルファ」内で、コンピュータを使ってさまざまな活動を行う授業「カズトロジー」を実施しています。3年生のクラスでは、6月から夏休みを挟んで9月にかけて、Viscuitを使ったプログラミングを行いました。
これまで1時間単位ではViscuitを使っているので、絵の描き方やメガネを使ったアニメーションの設定のしかたは子どもたちはわかっています。ただ、1回の授業だけでは時間が足りなくて、子どもたちがやりたいことを試す時間が十分にとれないと感じていたので、2022年度から3年生には6~7回の授業を使ってViscuitに継続的に取り組むようにしています。
週をまたいで制作に取り組むために、Viscuitの「じゆうにつくる」の画面に制作した作品を保存する方法を最初に紹介しています。説明がややこしくならないように、という教える側の都合で、「じゆうにつくる」のはらっぱの色だけをクラス全体で統一しておいて、はらっぱの一覧で出てくる数字の見方(日付と時間、ナンバリングの法則)を説明したら、前の週に保存したものを子どもたちが自分で見つけて作品の続きを作れるようになりました。
今年度は夏休みも挟んだので、7月の最後の授業のときにViscuitにアクセスできるQRコードを印刷したプリントを配布しました。何人かは、夏休みに自宅のコンピュータやiPadでViscuitに取り組んでいたようです。夏休みに作ったViscuitを2学期に学校で続きを制作できるように、プリントに作った「ビスケットを保存した日付と時間をメモする欄」に日付を書いて持ってきてくれた子もいました。
長く時間をかけるほど、子どもたちの「Viscuitでやってみたいこと」がたくさん出てくるように思います。途中からは、教える立場の僕でもどうやればいいのかわからないことは出てきますが、子どもたちはわからないところは自分なりに工夫をしたり、近くの人に助けてもらったりしながら作っていきました。
みんなで作っている作品を見せ合って、「おもしろーい!」「すごい!」と言い合ったり、おもしろがって笑い合ったりしている様子が教室で見られました。こういう、子ども同士で面白がれる場面を作ることがプログラミングの授業では大事だと僕は思っています。
子どもたちは、ペンギンが魚を捕まえたり、ドラゴンが火を吹いたり、いろいろなストーリーを作っていました。流行っている「スイカゲーム」をViscuitで再現してみようと頑張っている子もいました。こうして自分たちでやってみたいことに思う存分挑戦する時間をとれることは、アフタースクールのクラスで時間にゆとりがあるからこそだと思っています。
子どもたち同士での教え合いも自然に起こっていくので、一人が偶然見つけた機能は教室のなかでだんだん流行っていったりすることもあります。こうした場面も、Viscuitに限らずプログラミングを教える授業ではたくさん現れるといいなと思っています。
Viscuitの「じゆうにつくる」のところには、クラスにいる子たち以外のViscuitユーザーの作品もずらりと並ぶので、誰がどんな作品を作っているかがわからなくなってしまうので、スクールタクトを使って「ビスケットせいさくノート」というワークシートを配布しておいて、Viscuitのスクリーンショットと工夫したポイントを簡単に文章で残しておいてもらうようにしました。
Viscuitに取り組んだ最後の授業では、スクールタクトでシンキングツールのPMIを利用して、「いいところ(Plus)」「だめなところ(Minus)」「おもしろいところ(Interesting)」を書いてふりかえってもらいました。
「いいところ(Plus)」には、「自由に作れるところ」「たのしくできるところ」「どうやったらもっと面白くなるか考えるのが楽しかったです」「やりかたがいっぱいあった」などのコメントが書かれていました。プログラミングの楽しさを知ってもらえたかな、と思います。
一方で、「だめなところ(Minus)」に書かれていたのは、「よくバグるところ」や「保存しないと消えちゃうところ」というコメントでした。「よくバグる」というのは、画面が固まってしまう状態のことだと思います。それは、ものすごくたくさんのオブジェクトを同時に動かして、しかもそれが増えていくのを見るのが好きな子が多いからかな、と思います。「保存しないと消えちゃうところ」は、Viscuitに限らずすべてがそうなのですが、スクールタクトも含めてですが特に保存しなくても自動保存されることが多いので、「保存する」というアクションを忘れてしまいがちなのかもしれないと思いました。
「だめなところ(Minus)」に「作るのがやだ」と書いていた子は、「僕は作るよりも、見る方が好き」と言っていました。その子は全然Viscuitをやらないわけではなくて、自分でもちゃんと作ったうえで、隣の子が作っているのを見て、いろいろとアイデアを出したり、やり方を一緒に考えたりもしていました。そういう楽しみ方もあると思いました。
じっくり時間をとってプログラミングに取り組むことで、自分なりの「ものづくり」へのスタンスが少しでも見えてくるならいいな、と思っています。自分でつくるのもいいし、つくる人を手伝うのでもいいし、いろんな「ものづくり」への関わり方があることを体験してもらえたらいいな、と思います。
No.4に続きます。
(為田)