教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

滋賀学園中学・高等学校:タブレットを活用したFuture Leadership Program(2015年9月25日)

 9月25日に、滋賀学園中学・高等学校を訪問してきました。滋賀学園の【HPビジネスPC導入事例】の動画をYouTubeで見て、このブログにエントリーをアップしたらすぐ、安居校長先生からコメントをいただき、「いつでも見に来てください」と言われたので、さっそくおじゃましてきました。
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滋賀学園のFuture Leadership Program

 見学させていただいたのは、高校1年生の「国際理解」の授業でした。この授業は、「Shiga-gakuen Future Leadership Program(以下、SFLPと表記)」で行われている授業です。

「変わりつづける社会に対応できる力」とは何かを追求し、大学の先生や企業担当者と協同でカリキュラムを開発しました。毎時間、Class Mentorとして大学生が授業に加わるのも大きな特徴です。この授業を通して、次の3つのことを目指します。

  1. リーダーシップを身につけ、次世代のリーダーになる
  2. ICT機器を使いこなし、より効率的・効果的な学習方法を自ら身につける
  3. これからに必要な21世紀型能力(Communication / Collaboration / Critical Thinking / Creativity)を身につける

教育の特色 | 滋賀学園高等学校

 50分授業を2コマ連続で実施していて、担当されている先生は3人です。授業の最初に、担当の為房先生から、SFLPの目標が提示されていました。授業の際にこうしてリマインドをすることで、生徒たちが目標として意識してくれるのを目指しているようです。
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 見学した授業は、20人のクラス。4人ずつで5グループを作り、ディベートを行う授業になっています。SFLPの目標の後、現在取り組んでいるディベートについても、説明を行っていました。
 授業後に、先生方とのディスカッションのときにも話題にあがったのですが、ディベートを行う理由は、論理(ロジック)をしっかり立ててコミュニケーションをすることができるようにすること、だそうです。このときに提示されていたスライドにも、以下のように明記されています。

  • 真剣勝負により論理思考のレベルを体感する
  • 議論の仕方を学ぶ
  • 「いろいろな見方があるよね」でごまかさない
  • 不毛な議論(けんか)にしない

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 ディベートの論題は、「滋賀学園のこれからの派遣留学先にxxxを追加するべきである」というものでした。
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 各グループに候補地が割り当てられています。候補地は、アメリカ・ニューヨーク、ドイツ・ミュンヘン、韓国、シンガポール、インド・ムンバイの5つです。
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 ディベートはトーナメント戦で行うそうで、組み合わせもすでに発表されていました。トーナメントで対戦相手が見えていると、質疑応答も作りやすいのですよね。大学生の頃の政治学の授業でやったディベート大会を思い出しました。
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グループに分かれて立論作業

 今回の授業でディベートの立論に取り組むのは3時間めということでした。それぞれのグループで、自分たちが担当する国/都市について調べ、主張を立論する、という過程でした。授業の最初に、「こういう感じに立論をし、質疑応答をし、反駁するのだ」というサンプルとして、「学食に置くのべきなのはトマトか、バナナか?」という論題で先生方がデモンストレーションを行いました。

 その後、グループに分かれて自分たちの主張を立論していきます。すでにこれまでの授業で、担当する国や都市について調べて、ポイントをポストイットでまとめてありました。新たにワークシートが先生から配布されて、そこに立論を書いていきます。
 滋賀学園は、21世紀型教育の実践のためにICT活用を積極的に進めています。HPとコラボレーションをしていて、「HP Pro Tablet 10 EE G1」や「HP Elite x2 1011 G1」をはじめとする教育向けソリューションを導入しています。このため、1人1台で使えるタブレットを持っています。どう使うかは自由です。先生のスタンスとしては、「使いたい人は、持ってきて」という感じでした。
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 グループで1つの論題について立論をしているので、調べるのが好きな人、文章をまとめるのが好きな人、プレゼンテーションをするのが上手な人、とだんだん役割分担ができてくるのかな、と思いました。1人1台使うことの良さのひとつは、思考や表現や情報収集や情報編集などが、自分の思うとおりにどんどんやれることだと思っています。
 だから、このSFLPでのICT活用に関しても、そうした自由に自分の得意なところ/関心のあるところにどんどん使っていく、という実践的な使い方ができるとすばらしいなあ、と思いました。
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スマホを使うことの可能性

 滋賀学園ですごくおもしろいと思ったのは、休み時間などにはスマホなど自由に使っていい、というふうにしていること。2時間続けての授業見学だったので、休み時間の様子も1つの教室で見ることができました。みんなスマホを出して使っています。何をしているかまではわからなかったけれど、これだけ使いこなす子たちが、「これをプレゼン準備に使えるじゃないか!?」と気づいてしまったら、あっという間に活用できるのだろうなあ、と思います。
 仕事の場でも、PCも使うけれど、並行してスマホでちょっとした情報を探したり、手元で計算を簡単にするのにスマホを使ったり、移動中のやりとりにスマホを使ったり、といろいろとつかっているわけで、もっと幅広い使い方を始める土壌はできているな、と感じました。
 まだ授業に関係することで使っている様子はなかったです。でも、授業の内容にどんどん惹きこまれていけば、そしてみんなで何かをやること、考えて表現することの楽しさに目覚めれば、授業時間と休み時間と隔て無くPCやスマホでいろいろなことをできるようになるまではもう少しだと思います。ここは、先生方がどういうふうに使っていくか想定して、授業設計の中に盛り込めば、実現するような気がしました。簡単ではないのはもちろんですが、少なくとも、「スマホまったくNG」と禁止している学校では、可能性がもっとずっと低いので、ぜひ滋賀学園で実現させてほしいな、と思いました。

 安居校長先生は、「スマホの授業利用に関しては、私自身も大きな可能性を感じています。できれば使いたいと思い、どう使うかを含めて前向きに模索中です。」とおっしゃっていました。
 すでに決まっているところとしては、先生方が10月上旬にKocriの試用を予定しているそうです。
 また、生徒たちはタブレットを使っていない授業においては、スマホで写真や動画を撮影し、それを取り込んで他の授業で利用するということはすでに行っているそうです。

学校全体として取り組むことの大切さ

 もうひとつ、印象的だったのは、安居校長が「できるだけこの授業(SFLP)に関わるようにしている」と話していたことです。グループワークの中にもどんどん積極的に参加されていました。こういうふうに校長がしっかり入って授業を作っているのは、担当されている先生方、また職員室にも「ああいう授業をしていこうという方向性なのだな」というメッセージになると思います。
 実際、担当されている3人の先生方もいろいろと話し合い、授業設計を何度も見直し考え、授業を実施しているとのことでした。こういう、授業をしっかり作ってやっていくところに時間をかけていくことが、すぐに効果は出なくとも、意味があるところだと思います。
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 今回、京都精華大学の筒井洋一先生とご一緒させていただき、授業後に意見交換もさせていただいたのですが、筒井先生が「外部からの参加者が授業にいること」の意味をおっしゃっていましたが、こうして参加者が授業に参加することで、授業を変えていくというのもたしかにできるな、と思いました。

 タブレットが入って、まだ授業も変わりつつある過程だと感じました。しかし、その過程にしっかり校長先生が入り、担当の先生方が協力して授業を変えていっていて、今後が非常に楽しみだと思いました。

(為田)

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