2018年12月7日に仙台市立六郷小学校の公開研究会を取材させていただきました。
仙台市立六郷小学校の研究主題は「「対話」を通して学びを深める授業づくり〜学びの基盤としての情報活用能力を手がかりに〜」でした。平成28年度に仙台市教育委員会から「アクティブ・ラーニング」普及支援事業の拠点校に指定されたことを受け、平成29年度・30年度は仙台市教育委員会認定自主公開校として研究を広げてきました。
公開研究会当日は、研究概要説明・参観の視点の説明、授業公開、授業検討会、シンポジウムが行われました。
研究概要説明
はじめに六郷小学校の研究の概要の説明がありました。
主題設定の理由は,新学習指導要領と児童の実態、学校教育の重点目標、昨年度までの実践の4点から述べられていました。
児童の実態は、学校生活アンケートと仙台市版情報活用能力調査の5月と9月の比較をエビデンスに分析されていました。例えば「知識・技能」について、9割以上の児童が「授業が分かる」としているのに対し、学力調査の結果が仙台市平均と比して十分とは言えず、特に授業での学びと自分の考えとの結びつきが弱い点が、学習内容の定着度として課題が見られるとのことでした。そこで、本年度の学校教育の重点目標を「自分の思いや考えを伝え合うことができる子どもの育成」とし「対話」をキーワードに実践を進めることにしたのだそうです。このことは平成28年度・29年度の2カ年にわたって受けた「アクティブ・ラーニング普及支援事業」(仙台市教育委員会指定)とも密に関わっており、教師側の授業改善の方略の一つとして「知識構成型ジグソー法」の導入、「NHK for School」の積極的活用、思考ツールの活用、ICTの導入を試行することで、「対話」を支える「情報活用能力」の重要性を改めて実感し、これらを実践の糸口として研究に取り組んでいるとのことでした。
公開研究会当日に示された、校内研究の具体的な成果物で目を引いたのは「平成30年度仙台市立六郷小学校情報活用能力育成カリキュラム(試案)」及び「作成に当たっての考え方Ver.2」でした。仙台市教育センターが提供している「仙台版情報活用能力の育成おすすめカリキュラム!(小学校版)<ver1>」を参考に、六郷小学校が自校化したものでした。A3版見開きで、縦軸には「活用スキル(調べ方・伝え方)」「探究スキル(考え方)」「プログラミング(デジタルな考え方)」「情報モラル(情報社会における社会性・人間性)」の4つが配置され、それぞれに概要と内容が付されていました。横軸には低中高学年と学齢が並べられ、マトリックスになっていました。「作成に当たっての考え方Ver.2」では各スキルの内容がどの学齢で身につけるべきなのかが示され、「仙台市立六郷小学校情報活用能力育成カリキュラム(試案)」では教科単元が示されていました。
新学習指導要領において、情報活用能力は「学習の基盤となる資質・能力」に位置付けられました。各小中学校や市町村教育委員会は、各教科の特性を生かし、教科横断的な視点からのカリキュラム・マネジメントが求められており、六郷小学校の「情報活用能力育成カリキュラム(試案)」と「作成に当たっての考え方Ver.2」はとても参考になるものだと感じました。
No.2に続きます。
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(佐藤)