非認知スキルについて考える
週刊東洋経済 10/24号の特集についてのエントリーの中で触れた、非認知スキルですが、非認知スキルの指標の一つであるGritについて2015年1月12日にエントリーを書いたのですが、いい機会なので再エントリーしたいと思います。
blog.ict-in-education.jp
なお、Gritを測る指標(Grit Scale)の日本語訳私案を記載していますが、一部訳が間違っていました。りささんに2015年10月27日にFeedbackをいただき、修正しました。りささん、ありがとうございます。
Gritとはなにか?
この数ヶ月、セルフエスティームと学力向上について考えています。「やれる!」と思ってもらうことは、何かにチャレンジする際に非常に大切な要素です。前職の学習塾にいたときにも、授業の導入部分で、「できる!」「やったる!」と思わせることは大事で、それから説明を始める、ということを教わりました。
そうしたセルフエスティームをどうやって数値化できるだろうか、ということを考えているときに、Grit(グリット)という言葉に出会いました。ペンシルバニア大学 心理学教授のAngela Lee Duckworth(アンジェラ・リー・ダックワース)氏がTEDで「The Key to success」というプレゼンをしています。
Angela Lee Duckworth: The key to success? Grit ...
↓日本語訳はこちらで。
http://logmi.jp/32006
http://logmi.jp/32006
Gritを測る方法
プレゼンを見ても、Gritをどう測るのかということについては触れられていないので、検索をしてみると、ダックワース研究室にて、「Grit Scale」というのがありました。
https://upenn.app.box.com/12itemgrit
心理学の研究なので、どんな言葉で訳すのかなどで数値が変わると思いますが、ともあれ、自分でやってみようと思って日本語訳も。(もし、「こういう訳の方がいいんじゃない?」というのがありましたら、コメントいただければ幸いです。)
Grit Scale(教育ICTリサーチ 私案)
- 私は重要なチャレンジを成し遂げるために、挫折/停滞を乗り越えたことがある。
- とてもよくあてはまる
- よくあてはまる
- まああてはまる
- あまりあてはまらない
- まったくあてはまらない
- 私は新しいアイデアやプロジェクトによって、それまでのアイデアやプロジェクトから興味を失うことがときどきある。
- とてもよくあてはまる
- よくあてはまる
- まああてはまる
- あまりあてはまらない
- まったくあてはまらない
- 私は年々、興味を持っていることが変わる。
- とてもよくあてはまる
- よくあてはまる
- まああてはまる
- あまりあてはまらない
- まったくあてはまらない
- 私は挫折や停滞があっても、やる気を失わない
- とてもよくあてはまる
- よくあてはまる
- まああてはまる
- あまりあてはまらない
- まったくあてはまらない
- 私は少しの間あるアイデアやプロジェクトに執着し、その後、興味を失うことがある。
- とてもよくあてはまる
- よくあてはまる
- まああてはまる
- あまりあてはまらない
- まったくあてはまらない
- 私はハードワーカーだ。
- とてもよくあてはまる
- よくあてはまる
- まああてはまる
- あまりあてはまらない
- まったくあてはまらない
- 私はあるゴールを設定しても、後で別のゴールを選んでしまうことがよくある。
- とてもよくあてはまる
- よくあてはまる
- まああてはまる
- あまりあてはまらない
- まったくあてはまらない
- 私は成し遂げるのに数ヶ月以上かかるようなプロジェクトに集中し続けることが難しい。
- とてもよくあてはまる
- よくあてはまる
- まああてはまる
- あまりあてはまらない
- まったくあてはまらない
- 私は始めたことは何であれ、最後までやりとげる。
- とてもよくあてはまる
- よくあてはまる
- まああてはまる
- あまりあてはまらない
- まったくあてはまらない
- 私は成し遂げるのに数年かかるゴールを達成したことがある。
- とてもよくあてはまる
- よくあてはまる
- まああてはまる
- あまりあてはまらない
- まったくあてはまらない
- 私は何ヶ月かごとに、新しことに興味をもち、追求したくなる。
- とてもよくあてはまる
- よくあてはまる
- まああてはまる
- あまりあてはまらない
- まったくあてはまらない
- 私は勤勉だ。
- とてもよくあてはまる
- よくあてはまる
- まああてはまる
- あまりあてはまらない
- まったくあてはまらない
12問に回答したら、次はそれを集計します。
集計方法:
- 質問1, 4, 6, 9, 10, 12については、以下のように点数に換算します。
- 5=とてもよくあてはまる
- 4=よくあてはまる
- 3=まああてはまる
- 2=あまりあてはまらない
- 1=まったくあてはまらない
- 質問2, 3, 5, 7, 8, 11については、以下のように点数に換算します。
- 1=とてもよくあてはまる
- 2=よくあてはまる
- 3=まああてはまる
- 4=あまりあてはまらない
- 5=まったくあてはまらない
- 点数をすべて足しあわせて、12で割ります。最高点は5(強くGritをもっている)、最低点は1(まったくGritをもたない)
自分で測ってみた
とりあえず訳してみたので、質問に答えてみました。僕は3.5点でした。自己採点的には、「思ったよりあるな…」という感じです。
しかし、質問がとても直接的なので、この質問項目で計測しても、ちゃんとしたのが出てくるか不安です。
経営者の人たちや高いパフォーマンス(仕事とかスポーツとか含めて)を出している人たちにまとめてアンケートとってみたいなあ…。
ICTによりGritは測れるのでは?
ICTが教育現場に入っていくことで、Gritはより正確に測れる様になるのではないかと思います。例えば、オンライン教材の学習時間を記録することもできるし、「もうこの問題はだめだ…」と諦めてしまうタイミングも記録できるし、これらを組み合わせてGritを計測することもできないかな…と思っています。アメリカのKnewtonとか、こういうのは計測していて、報告とか出てくるとおもしろいのにな、と思います。
こうしたデータが出てくると、現場の先生方が経験的に持っている児童生徒のGritを見抜く力とかが見える化もされるので、先生方の授業をさらに向上させることにも繋がると思います。
(為田)