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Kids Creator’s Studio「未来の創り手」成果報告会 レポート No.2(2018年3月27日)

 2018年3月27日に、大崎ゲートシティホールにて、Kids Creator’s Studio「未来の創り手」成果報告会が開催されました。
 第1部の作品プレゼンテーションの様子をレポートします。登壇したのは、吉田たくと さん、斉藤みり さん、曽田柑 さん、高橋温 さん、菅野晄 さんの5人でした。
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「たべガチャ」

 最初に登壇したのは、吉田たくと さんでした。最初の自己紹介で、「カマキリを捕まえるのが好き、野球をするのが好き、プログラミングをするのが好き。」と言っていました。プログラミングが特別なものでなくて、他の好きなことと併存しているのがとてもいいなと思いました。Tech Kids Schoolに通うようになって、「いろいろなことができるようになった。世の中の誰かの役に立てばいいな、と思った」と言っていました。
 吉田さんが作ったアプリは、お母さんの料理を手伝うアプリ「たべガチャ」です。ガチャガチャ風にして、やっている人を楽しませるようにしたそうです。「野球をやっているから、栄養の要素を入れて、栄養満点にして、またホームランを打ちたい」と言っていました。自分の作ったアプリと、自分の生活とが結びついているのがとてもいいと思いました。
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「eatDaily」

 次に登壇したのは、斉藤みり さんでした。「一輪車と絵を描くことが趣味で、マンガ教室にも通っていて、パソコンでも絵を描いています」と言っていました。また、小学校2年生からSHOWROOMもやっているそうです。自分の考えたアプリを開発したくて、Tech Kids Schoolへ入ったそうです。
 eatDailyは、作った料理を撮影し、日付を入れて、評価するアプリです。毎日のご飯を記録することで、何を作ったか忘れて2日連続で同じメニューになってしまったりするのを避けられると思って作ったそうです。Kids Creator’s Studioでデザインの工夫について学んで、「料理のイメージ→食欲をそそる色→オレンジ色」というふうにアプリの色をデザインしたそうです。感想として、「むずかしいことを一生懸命わかることがすごく楽しいということがわかった」と言っていました。これは、プログラミングだけに限らず、彼女の人生において、非常に大切な経験になっているだろうな、と思いました。
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 たまたま料理のアプリが2つ続きました。小学生にとって、家庭での食事というのは、数多くある場面であり、アプリの開発が、生活に密着している問題意識から出発しているのだろうな、と感じました。

「プログラ」

 次に登壇したのは、曽田柑 さんです。好きなことは、「ロボット、図工、プログラミング」だそうです。去年、学校からのチラシでScratchのワークショップへ。ワークショップでやったScratchがきっかけでプログラミングをやりたいと思ったそうです。そして、PCを買ってもらい、Scratchを始めたそうです。最初は本を読んでプログラミングを学んでいましたが、その後、Kids Creator’s Studioに応募したそうです。
 プログラは、小学生でもプログラミングを簡単に学べるアプリです。6つの基本概念を、それぞれ4つのクイズで学べるようになっています。24個のクイズを問いていくことで、プログラミングを学べます。また、「ワクワクさせるためにタイムアタック」してもらうという、ゲーミフィケーションの要素も入っていました。
Kids Creator’s Studioで学んだIllustratorやXDを使って、自分で作ったデザインをアプリに入れられるそうです。
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「memorisu」

 次に登壇したのは、高橋温 さんです。好きなことは、スノーボード、キャンプ、ボルダリングなどスポーツ系が好き。スプラトゥーンもマイクラも、だそうです。プログラミングのワークショップに参加したのがきっかけで、3年生からスクールに入って、Minecraftで自動で採掘できるプログラムを作ったそうです。その後、4年生で本格的なアプリを作りたいと思い、Unityで3Dゲームを作り、5年生の秋にKids Creator’s Studioに参加します。最初は、「遊ぶゲームを作りたい」という思いだったのが、今は「人の役に立つ、便利なアプリを作りたい」というふうに変わってきたそうです。
 memorisuは、写真で覚えたいものを撮影して赤線をひく、という赤ペンマーカーとシートでやっていた勉強の仕方をスマホでできるようにしたものです。開発のきっかけは、「赤シートを使っているけど、不便なことが多くて。効率的に勉強をしたくて作った」と言っていました。工夫したポイントとしては、フリックで簡単に画面を変えられるようにしてあることや、ひいた線の太さや長さを調節しやすいようにしてあること、また達成率を表示することで、勉強を効率的にできるようにしてあることなど、デジタルならではの特長を活かしていると思います。半年間のKids Creator’s Studioを終えての感想を訊かれて、デザインに関する感じ方が変わった、と言っていました。そして、これから「デザインをより高める。美術クラブに入る。」と言っていました。プログラミングが彼女の表現の一部になっているのだということを感じます。
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「写刺繍」

 最後に登壇したのは、菅野晄 さんです。小2でプログラミングを始めて、さまざまなアプリをこれまでにも作ってきているそうです。「今まではおもしろいゲームを作ってきたけど、これからは人の役に立つアプリを作ろう」と思い、Kids Creator’s Studioへ応募したそうです。
 写刺繍は、刺繍の図案を作ってくれるアプリです。刺繍で難しいのは、図案を作ることです。自分で刺繍したいと思うモチーフが、すべて図案になっているわけではないので、アプリを使って簡単に図案を作ることができれば、刺繍に使えるモチーフが増えると思います。また、できたものを刺繍ミシンに取り込むこともできるようになっているそうです。デジタルとものづくりを結びつけるアプリだなと思いました。
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まとめ

 5人ともとても素敵なプレゼンテーションだったと思います。この前の挨拶で、上野さんが言っていた育てたい人材像=「テクノロジーを武器として自らのアイデアを実現し、社会に能動的にはたらきかける人」をまさに体現している5人ではないかと思いました。

 No.3に続きます。
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(為田)