2019年12月6日に、弘前市立千年小学校を訪問し、村田真紀子 先生が担当する4年1組の算数の授業を見学させていただきました。今回の授業は、千年小学校のネームプレート(TITOSE)を作るときに使われる5つのアルファベットのなかで、いちばん面積の大きいのはどれかを考える授業でした*1。
教室では、実物投影機とPCをプロジェクタで投影していました。「5つの文字の中で、いちばん面積の大きいのはどれだと思う?」と、村田先生は子どもたちに問いかけます。最初はひとつも手がかりがないので、それぞれの文字について、辺の長さはどこがわかればいいかを考えていきます。みんなで共有した数字を、村田先生は実物投影機の下でプリントに書き込んでいきます。
それから、どうやって面積を求めたらいいかを考えます。一人1台のiPadを机の上に出して、ロイロノート・スクールを起動します。
まず、「T」の文字の面積をどんなふうに求めればいいかを考えました。最初に配布されたプリントはノートに貼って、ロイロノート上で必要な情報を書き込んで、式を考えて、面積を求めていきます。まずは1つの方法で解けたら、先生に提出します。
2つめ、3つめの解き方を提出している子もいます。「他にも解き方はあるかな?」と考えてみようと導く村田先生の発問も素晴らしかったですし、村田先生と子どもたちとの間の関係性がとてもよかったと思います。
ロイロノートの資料箱のなかには、ヒントつきの問題として、マス目がある同じ問題も用意してあり、「わからない人は、そっちを使ってもいいですよ」という形で、子どもたちは自分にあった教材を使って、問題に取り組んでいました。
この日は、授業参観日だったので、教室にはたくさんの保護者の方がいらっしゃっていました。ロイロノート・スクールで問題を解いて先生に提出する様子を見て、「おお、これで提出できるんだ、すごい」という保護者の方もいらっしゃいました。こうして、ICTがどのように学校で活用されているのかを見ていただくことは非常に大切なことだと思います。
全員が解き方を提出し終わったら、回答一覧をプロジェクタで投影して、クラス全体でどんな解き方を見つけられたのかを見てみます。
違う解き方をしている子どもの解き方を一人ずつ、回答を表示してクラス全体で検討していきます。自分で説明してもらったり、「この人はどんなふうに考えたのだろう?」と他の子に説明してもらったり、クラス全体で考え方について共有しながら理解を深めていきます。ロイロノート・スクールに書かれている式や計算過程をみんなで見ることができるので、そこでみんなで「どう考えればいいのか」ということを追体験できます。また、解いた本人にとっても、自分の考え方を言語化して人に伝える機会になっていました。
「文字を複数の長方形に分けて、最後に足し合わせる」解き方と、「全体の面積を求めて、部分をひく」解き方が何種類か発表され、村田先生は子どもたちが前時までに考えた方法(雪だるま方式、かりひき方式、パズル方式)で説明します。
最後に、村田先生は「こういうやりかたもありますよ」ということで、本時では出なかったパズル方式の考え方を紹介しました。ディスプレイ上で、「T」の文字の横長の部分と縦長の部分の境目に赤い線が引かれ、下の部分が回転しながら上の方へ移動して、横長の1つの長方形に形が変わるアニメーションが表示されました。こうしてアニメーションで見せることで、印象的に解き方を伝えることができますし、頭の中で平面図形を操作するときのイメージを得ることができます。
紙などで用意してこうした説明をするためには、準備が大変ですが、ICTを活用してアニメーションを一度作ってしまえば、学校全体で毎年活用することも可能になります。このアニメーションはICTサポータが授業支援の一つとして制作してくれたそうです。こうして、自作のデジタル教材などがどんどん増えていくことで、学校それぞれでの教え方を蓄積できると思いました。
No.2に続きます。
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(為田)