教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

京都教育大学附属桃山小学校 授業レポート No.6(2020年1月15日)

 2020年1月15日に京都教育大学附属桃山小学校を訪問しました。京都教育大学附属桃山小学校は、文部科学省の学校ICT活用フォーラムの視察先の一つとして選ばれていて、午後に学校ICTを活用フォーラムが行われましたので、そちらにも参加させてもらいました。

 授業見学後に、全体説明会が行われました。桑名良幸 教頭先生から、見学させてもらった授業の背後にある設備やシステムなどについての紹介がありましたので、メモを公開します。

ネットワーク

 最初に1人1台のiPadが接続されているネットワークについての説明がありました。ネットワークのセキュリティは2つのポリシーによっているそうです。

  • 個人情報
    • 高度な情報機密が必要
    • 厳しい設定になっている
    • 開けないサイトも多い
  • 学習データ
    • USEN WiFi回線を活用
    • 児童のクリエイティビティを伸ばすためにメディア・コミュニケーション(MC)もあり、メディアとの付き合い方を学んでいる
    • 制限をかけるよりも使う
    • 使った時に起こることや使い方についての指導をする
    • 不必要な制限は外す

iPadとアプリケーション

 次に、1人1台のiPadで機能しているアプリケーションなどについての説明がありました。

  • iPadを活用する利点
    • 軽い
    • できることの可能性が多い
    • 直感的に使える(1年生でもロイロノート+iPadで指で書き込める)
    • 1年生~3年生は共有
    • 発達によって使う頻度が違う。計画的に使うべき。
    • 4年生以上は学習の質が変わってくる。ここからは一人1台使わせる。深い学び。
  • ロイロノート
    • 桃山小学校の学びのメインとなっているツール
    • 子どもたちの思考を止めない。再構築する。
    • デジタルシンキングツールで深い学びへの到達
    • 日々の学習記録を蓄積。思考の形成的評価。ポートフォリオ
  • G-Suite
  • Everyone Can Create
  • BOX
  • Classting
    • 学校だより、学級通信をデジタル配信、ペーパーレス化
    • 保護者の登録が簡単
    • 教育用で、クローズドな運用が可能
    • カラーで写真も見せられて、保護者にも好評
    • 保護者の理解を得て実現
    • リアルタイムで写真を送れる
    • 学級通信の代わりに出せる
    • 予約配信もできるので、時短効果もあり

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ハードウェア環境

 順番は前後するのですが、全体会後に校長補佐の児玉先生から、教室の備品についてのお話も伺いました。「少しの予算と工夫で、教室環境は大きく変えられる」と児玉先生はおっしゃっていました。

    • iPadを1人1台で使うようになり、教科書やノートを置くと、机が狭い。
    • 京都教育大学附属桃山小学校では、天板だけを変えている。
    • コストをかけずに変えることができる。
  • モニター
    • モニター+Apple TVで整備可能

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質疑応答

 最後に質疑応答がありました。参加者からの実務的な質問が多く出ていたのが印象的でした。

Q ICT支援員は?

  • ほしい、居たらいいと思う。得意な職員+企業のサポート。
  • 操作をシンプルにしたいという点でも、iPadが強い

Q iPadが1年~3年で共有、データの保存先は?

  • メインで使っているロイロノート・スクールはクラウド化。卒業するまではもちろん、卒業後にもクラウドにデータがある。
  • 純正アプリについては、G Suiteのストレージを使っている。

Q ロイロノート、GoogleのIDとパスワードは児童生徒が使ってトラブルは?

  • よくある質問だが、IDとパスワードを自分で管理するのは当然。
  • 子どもたち自身が自分で管理できるように指導する。

Q タブレット管理 持ち帰りは?

  • 年間での故障はほぼない。あっても保険で対応できる範囲。
  • 持ち帰りは考えていない。今後BYODをいずれは検討するかもしれない。
  • アダプティブラーニングをやるときに考えるかも。

Q 否定的な先生の意識改革は?

  • 研修を実施している
  • 組織づくりは学校の問題
  • 1学年(2学級)で、ICT+情報活用能力の担当が学年に入るようにしている
  • 授業で使うなかでできるようになる。
  • 核になる人が必要になります。

まとめ

 授業と学校ICT活用フォーラムの両方を見学させていただくことができました。1人1台PCの整備については、もちろん進めていかなくてはなりませんが、「入った後に、どういう学校/授業が現れるのか」ということについての準備もしていかなくてはなりません。先進的に取り組んでいる京都教育大学附属桃山小学校の知見が、参加された皆さんの自治体・学校へとどんどん広がっていけばいいと思います。お手伝いができる部分は、何でもしていきたいと思っています。


(為田)