教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

京都教育大学附属桃山小学校 授業レポート No.4(2020年6月9日)

 2020年6月9日に、京都教育大学附属桃山小学校の山口翼 先生が担当する5年1組の算数の授業をオンラインで見学させていただきました。この日の授業は、山口先生は学校の教室から授業を配信し、児童は各家庭からオンラインで参加するという形で行われました。

 授業が始まる少し前からZoomで待っていると、5年1組の児童がどんどんログインしてきます。これは教室に児童がどんどん入ってくるのと同じ感覚で、山口先生は先にログインしてきた児童と話をしながら、みんなが来るのを待ちます。こうした一つ一つに、教室と似た雰囲気を感じます。オンラインであっても、このような繋がりの場があることが本当に大切なのだと思わされます。

 京都教育大学附属桃山小学校の5年生は、学校では話し合いと協働を中心にした授業をしていて、そのために個人で考えを練り上げるところを家庭学習でやっているそうです。今回見学した算数の授業では、アダプティブラーニングの算数デジタルドリル「やるKey」で出題された難しかった問題について解説し合う活動をしました。

 ロイロノート・スクールのカードをZoomで画面共有して、解説していきます。一人が解説を終えたら、みんなの意見を聴いていきます。やるKeyの問題のスクリーンショットをロイロノート・スクールに貼り付けて、そこに解説を書き加えた画面が共有されていました。
f:id:ict_in_education:20200617153707j:plain

 僕が参加させてもらったグループでは、一人の児童が問題を解説してくれて、その後で、グループのみんなで「いいと思ったところ」を伝え合っていました。例えば、「わかんないところはみんなで考えたのがいい」「答えは書かないようにして、自分で考え直せていいと思った」というようなコメントが出ていました。
f:id:ict_in_education:20200617153804j:plain

 また、「読んでいるだけではなく、画面に文章で書いてあるのでわかりやすかった」というコメントが出ていました。京都教育大学附属桃山小学校では、メディア・コミュニケーション科という教科があり、情報活用能力を養っている成果ではないかと思いました。

 解説の仕方はいろいろで、みんなが自分なりにわかりやすいと思う解説を書き込み、それを説明しているのが素晴らしいと思います。
f:id:ict_in_education:20200617153858j:plain

f:id:ict_in_education:20200617153928j:plain

 授業開始から20分経って、最初のブレイクアウトルームが終了しました。山口先生は、次の課題として、「小数のかけ算(3.26×1.4)の解説書を作ろう!」を画面に表示しました。
 班ごとに取り組む課題なので、山口先生がブレイクアウトルームへ割り振っていきます。実は、山口先生は授業が始まる前に、「自分の名前の前に、教室の班の番号を入れてね」と言っていました。こうすることでZoomの名前表示が「9 為田裕行」のような感じになり、班ごとにブレイクアウトルームへ割り振る設定をするときに便利になります。
f:id:ict_in_education:20200617154023j:plain

 今度は、班で話し合いながら解説書を作るので、グループで一人代表を決めて、代表のロイロノート・スクールのカードを共有して、「計算の手順(順番)」「気をつけるポイント」「筆算」の3つについて話し合った内容を書いていきます。児童たちは、「まず何を書くか決めていこう」「手描きでどんどん書いて、あとできれいに直そう」と話し合います。
 話し合いはZoomを使い、話し合いの成果を出力するのはロイロノート・スクールを使うという形を取ります。言葉から書いていく班もあれば、内容から考える班もありました。筆算をしてみて、それをまとめている班もあります。思考の方向性の違いを知ることができるのがいいなと思いました。手書きで書いていく班も、キーボードで入力している班もありました。
f:id:ict_in_education:20200617154103j:plain

f:id:ict_in_education:20200617154128j:plain

 班ごとに活動している間、山口先生はそれぞれのブレイクアウトルームをのぞいていきます。それぞれの班で共有されている画面を見て、「小数点をとる、っていうのは、具体的にはどうするの?」や「3.14は100倍する、って書いたらわかりやすいんじゃない?」というようにコメントをしていくことで、児童たちの話し合いをサポートしていきます。これも、教室での班活動への先生の関わりをそのままオンラインで実施しているのだと気づきます。
 話し合いの時間の最後に、代表でロイロノートでカードをまとめていた児童が、班のメンバー全員にカードを送って、みんな自分なりにわかりやすくする作業に入っていました。デジタルを協働ツールとして使って、みんなで考えを練り上げていくことに使えているな、と感じました。
 最後に山口先生は、「明日、学校でねりあげて共有しましょう」と言いました。オンライン授業だけで完結するのではなく、実際に教室でみんなで顔を合わせる授業と行き来するように授業が構築されていることがわかりました。

 算数の授業の後は係活動の時間だそうで、山口先生は、「今度は名前の前に自分の係を書いておいてください」と言います。画面には、「プレイ係」「ワクワク係」「科学係」など、5年1組のいろいろな係の名前が表示されていました。ブレイクアウトルームを作るときに、こうして活動に応じて名前の書き方を工夫してもらうのは、便利だと思いました。

 No.5に続きます。

(為田)